第9惑星ビニル

見た映画の感想を書き綴ります。

2019年映画ベストテン

f:id:sexualrocker:20200107001431j:plain
 

こんにちは、ビニールタッキーです。

2019年に見た新作映画は44本ほどでした。今年は仕事が忙しかったり見たい映画が近所の映画館では公開されなかったりで(ド田舎なので…)配信レンタルで後追いで見た映画も多かったですね。これに合わせて旧作は32本程見たので気持ち新作が多いぐらいです。相変わらず年100本には届かないレベルの映画ファンの端くれですが、今年印象に残った映画をベストテンとして挙げてみます。

 

 

10.女王陛下のお気に入り

www.foxmovies-jp.com

アン女王(オリヴィア・コールマン)の「お気に入り」になるべく女官長サラ(レイチェル・ワイズ)と貴族から没落したアビゲイルエマ・ストーン)の血で血を洗う権力闘争が始まる。超実力派俳優のアンサンブルによる演技合戦が見もの。特にアカデミー主演女優賞を受賞したオリヴィア・コールマンの常人では耐えきれないような背景を背負った女王の演技や病状が悪化して擦り減っていく演技は本当に凄かった。ヨルゴス・ランティモス監督お得意の独特の動物使いも印象に残りました。あの最後のウサギちゃんとかね…。全てが終わった後の「これで誰が幸せになったんだろうか…」という後味も最悪で最高です。

 

 

9.ゴールデン・リバー

gaga.ne.jp

ゴールドラッシュ時代のアメリカ、一攫千金の秘策を持つ男2人とそれを追う殺し屋「シスターズ兄弟」の2人。この4人が黄金の眠る川(ゴールデン・リバー)で出会ってしまった…という映画。これは完全に不意打ちを喰らいました。4人の複雑な関係性が爆発しまくっている…!相変わらず演技力が鬼なホアキン・フェニックスは『ジョーカー』よりもふっくらしているにも関わらず異様な色気が漂っていました(あのお兄ちゃんに髪を切ってもらうシーンとか!本当に何事!?)ジョン・C・ライリーの後悔を抱えた兄も健気かわいくて素晴らしかった。ジェイク・ギレンホールも柔和でありながら心に芯を持つ男もいい(特に目の演技がいい!)そして僕はこの映画を見てリズ・アーメッドが好きだと確信しました。『ローグ・ワン』『ヴェノム』でもそうでしたがあまりにも大きすぎる理想を狂信的なまでに追いかける人物を演じさせたら天下一品ですね。この4人の人生の一瞬のきらめきのような一夜を経てからの地獄巡り、そして同じ映画とは思えないくらい穏やかなラストには驚きました。すごい映画だった…

 

 

8.トイ・ストーリー4

www.disney.co.jp

最初に「トイ・ストーリー4を作ります!」と聞いたときは「3であんなにきれいなハッピーエンドで終わったんだからもういいだろ」と思いましたが映画を見て猛省しました。僕の考えは浅はかだった。賛否両論あるこの映画ですが、否定派の方はきっとおもちゃをとても大事にしている人だと思うんですよ。僕はあまりおもちゃを大事にしてこなかった子供だったので「心配すんなよ。俺たちはよろしくやってるよ」と語りかけてくるようなこの映画に涙してしまいました。他にも新キャラのダッキー&バニーの関係性は最高だしギャビーギャビーのラストには涙腺が爆発するかと思うくらい泣きました。これまでのシリーズで描いてきたおもちゃの価値観を尊重しつつ一方で別の道を示した手腕に拍手を送りたいです。

 

 

7.クリード 炎の宿敵

wwws.warnerbros.co.jp

こちらも最高傑作『クリード チャンプを継ぐ男』の続編ということで期待と不安が入り混じる状態だったんですが…前作だけではなく『ロッキー4』の味わいまで深くなる素晴らしい続編でした。特に「父と息子」という関係をそれぞれの登場人物の関係性を通して重層的に描いていたのが素晴らしかった。そして因縁が頂点に達したところで迎える決着…この試合決着シーンはスポーツ映画史上屈指の決着だと思います。今思い返しても泣いてしまいます。

このブログでもやたら長い感想を書きましたのでご覧ください。

planetvinyl.hatenablog.com

 


6.ドクター・スリープ

wwws.warnerbros.co.jp

これまたスタンリー・キューブリック監督の傑作映画『シャイニング』の続編ということでどないやねん、と思いながら見たら前作へのオマージュをしっかり捧げつつド派手な能力バトル!容赦ない暴力シーン!そして子どもたちへの真っ直ぐなメッセージにグッときてしまいました。絶対に難題であるこの続編を二次創作的な発想と大胆な映像で完成させたマイク・フラガナン監督の手腕に舌を巻きました。キャラクターで言うと邪悪なコミューンのボスであるローズ・ザ・ハット(レベッカ・ファーガソン)の全く共感できない最低最悪なゲス野郎っぷりは最高でしたね。

個人的には大人になったダニー少年ことユアン・マクレガーのキャラが完全にオビ=ワン・ケノービだったのも嬉しかったです。シャイニングと共にあらんことを…

 


5.シャザム!

wwws.warnerbros.co.jp

2019年はDC映画の快進撃が続きましたがその中でも忘れられないのが『シャザム!』ですね。スーパーパワーも何も持っていないビリー少年が友人でありグループホームの家族でもあるフレディを助けるために英雄的な行動をするシーンにグッときてしまいました。(このフレディ君が足が不自由という設定に重要な意味があるのも素晴らしかった!)そして「分かち合えない力なんて意味がないよ」というセリフはあらゆる強権的な人物や権力一点集中的な国家や物事に対する明確なアンチテーゼで胸を打ちます。変身後のシャザムを演じたザッカリー・リーヴァイのいい人オーラが全体に滲み出ている雰囲気も込みで大好きな映画です。

 


4.ヒックとドラゴン 聖地への冒険

gaga.ne.jp

2019年は様々なシリーズ映画が完結を迎えましたが『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』は本当に完璧な三部作完結篇でした。傷ついた少年とドラゴンが”人馬一体”となる過程を描いた傑作の1、戦うことの意味や犠牲をより濃く描いた2、そしてそれぞれの成長を描く3とこれほど丁寧に作られ、幸せに満ちた三部作は中々ないと思います。「シリーズ未見なので…」「いきなり3から見てもいいの?」という方に断言します。僕は『ヒックとドラゴン』一作目をDVDで見て劇場公開時に映画館で観なかったことを猛烈に後悔しました。一作目の公開はすぐに終わってしまいました。二作目は日本未公開でした。三作目はあらゆる配給会社が手を組んでなんとか公開が実現しました。圧倒的な飛行シーンと美しいビジュアル(ビジュアルコンサルタントは実写映画でも数々の賞を受賞しているロジャー・ディーキンス御大!)を堪能できるので今すぐ公開館に足を運んでください!よろしくお願いします。

 


3.ロケットマン

rocketman.jp

壮絶な人生を歩んできたエルトン・ジョンの経歴を実際の楽曲と絡めながらきらびやかなミュージカルに仕上げた意欲作。周りの人間からの愛を渇望する彼が「誰かに愛されたいならまず自分自身を愛する」ことに気付くまでの過程が愛おしく切なく美しい。その複雑な愛の渇望を象徴するような「Your Song」制作シーンはタロン・エジャトン君の圧倒的な歌唱力も込みで何度見ても涙ぐんでしまいます。(実際にバーニー・トーピンが書いた直筆の歌詞カードには朝食のテーブルで書いたためコーヒーや卵の染みが付いているという話がまた泣けてくる…)このように実在の楽曲と映画のストーリテリングが見事に合致した職人芸のような映画だと思います。

 

 

ロケットマン』は何よりもデクスター・フレッチャー監督の名が知れ渡ったことが本当に嬉しい。『イーグル・ジャンプ』が日本未公開となったり『ボヘミアン・ラプソディ』で途中降板したブライアン・シンガー監督に代わって現場を立て直したにも関わらず色々な都合で表舞台に出れなかったりしたデクスター・フレッチャー監督。ついに報われた…!と感慨深くなります。監督が俳優をやっていた頃に『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』で共演したジェイソン・ステイサムが試写会で泣きながら顔を真っ赤にして出てきたという話もいい話すぎて忘れられません。

 


2.ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

www.onceinhollywood.jp

伝記映画にはお話としてわかりやすくするために必ず脚色が入りますが「テーマを語るためなら事実の脚色ってここまでやっていいんだ!」と感動した映画でした。タランティーノ監督がこの映画で何をしようとしたのかはこちらのインタビューでより理解できると思うのでぜひお聞きください。

 

そしてこの映画は何よりもリック・ダルトンレオナルド・ディカプリオ)とクリフ・ブース(ブラッド・ピット)の友人以上妻未満の関係性が本当に本当に最高でした。かつて名声を争った名俳優2人の共演という胸熱物件でありながらそこに濃厚なやおいをぶっ込んできたタラちゃんには感謝しかありません。今後もこういうことどんどんやって!映画界!という気持ちでいっぱいです。 

 

1.スパイダーマン:スパイダーバース

f:id:sexualrocker:20200106232717j:plain

https://bd-dvd.sonypictures.jp/spidermanintothespiderverse/

イエーイ!最高!!とにかくアニメーションの気持ちよさとテーマの深さに完全にヤラレました!なんというか、僕の好きな”親愛なる隣人”スパイダーマンがここに詰まっていると感じました。主人公のマイルス君を始め、グウェンもスパイダーノワールもペニー・パーカーもスパイダーハムもみんないい。ヒーロー集合モノの映画は数あれどこんなに見た目がてんでバラバラなのに"スパイダーマン"という精神で繋がっていてわちゃわちゃ戦う様子がとにかく楽しい。そしてお腹周りが気になる中年男性もヒーローになれるという道標を教えてくれたピーター・B・パーカー!次元の異なるキャラクターごとにアニメのフレーム数も異なるという狂気の沙汰のアニメーションも見ものです。何度見ても新たな発見がある映画なのでぜひ見てください!!

 

 

えー、本来はここで終わりなのですが2019年は個人的にどうしても触れなければならない映画がありました。今回特別枠というカテゴリでご紹介します!

 

 

特別枠.HIGH&LOW THE WORST

high-low.jp

f:id:sexualrocker:20200107002937j:plain


2年前、よみうりランドで開催されたハイローランドでの舞台挨拶で平沼さんの発言を聞いてから個人的にはずっとお祭り状態でしたね。

鬼邪高PTA(鬼邪高校ファンの総称)としてとても楽しみにしていた映画でしたが鬼邪高生はもちろん、鳳仙の新キャラたちもみんな瑞々しくて素晴らしく、アクションもストーリーも解説を聞いてもどうやって撮影したのかよくわからないカメラワークも全てが最高でした。特にストーリーは『HIGH&LOW THE MOVIE』の最新進化系という感じで、アクションの見せ方、回想シーンの使い方、お話運びからキャラクターの関係性の構築の仕方まで全てがブラッシュアップされていてグッときてしまいました。

そして…この映画を語る上で欠かせないのが轟洋介(前田公輝)という男の存在。劇場版の登場回数が少ないためやきもきしていたのですがまさに彼の成長と飛躍を描く映画でした。鬼邪高番長:村山さん(山田裕貴)と轟くんの関係性にドラマシリーズからずっと悶えていた僕のようなファンへの最高のプレゼントみたいな映画でしたね。2人のタイマンはほぼ段取りなしで1日で撮り終えたという伝説も胸を熱くさせます。

 

もちろん鳳仙学園の面々も素晴らしかった。LDH外の若い役者である彼らが話し合いを繰り返して演じるキャラクターを膨らませていったというエピソードは、かつて噛ませ犬としてキャスティングされた鬼邪高の3人(山田裕貴・鈴木貴之・一ノ瀬ワタル)が何とか傷跡を残してやろうとアイディアを出しまくったという有名なエピソードを思い出して泣きそうになります。このように若手俳優が自分を表現できる場がもっともっと増えるといいな、と思いました。

 

以上です。

いやーしかし大作が多いですね。しかし選外になってしまった作品でも素晴らしい作品はありました。『キャプテン・マーベル』や『アクアマン』の痛快さは良かったし『アベンジャーズ/エンドゲーム』のアッセンブルシーンは燃えたし2019年後半に僕の自律神経をかき乱しまくった『ターミネーター:ニュー・フェイト』も素晴らしかった!『The Guilty/ギルティ』の限定空間で想像する現場に背筋が凍る感覚も最高だったし『アメリカン・アニマルズ』の独特の構成も忘れられない。

しかし田舎に住んでいる限り映画に触れる機会がどうしても少なくなってしまう…という悩みを解決するためについにNetflixに入ってしまいました!早速何本かオリジナル作品を見ていますがこれとてつもない配信サービスですね!絶対に流行りますよ!(既にユーザー数1億人を突破しています)

ということで2020年もいっぱい映画見るぞ~!