第9惑星ビニル

見た映画の感想を書き綴ります。

最近増えてる?「タレントナレーション予告編」の世界

こんにちは、ビニールタッキーです。

前回の「月刊おもしろ映画宣伝2024年01月号」で少し触れたのですが、最近タレント・芸能人が映画の予告編などにナレーションを入れて紹介する「タレントナレーション予告編」が増えてるような気がするんです。

幅広い層から注目を集めるため、日本語吹替版を作る予算がないため、など様々な理由があると思います。他にもアニメ『鬼滅の刃』以降の第6次声優ブームにあやかって有名声優さんが予告編のナレーションを担当し、それが映画・芸能ニュースで取り上げられるという機会も増えたような気がします。また、(僕は好きですが)映画ファンに忌み嫌われるタレント吹替ほど作品に直接の影響は与えないものの、そのタレントが参加したことで露出する媒体・ニュースサイトが増えるという効果も考えられます。

しかし「最近増えているような気がする」という何となくの気分では納得いかない理系タイプの僕です。(過去に本当に日本映画の予告編は叫んでいるのか?というのを検証したことがあります)ものすごくめんどくさいのですがだいたい2019年〜2023年の5年間+2024年2月現在までのタレントナレーション予告編を探してみました。ちなみに「タレント」の評価軸はかなり曖昧です。映画ニュースサイト等を検索して「○○がナレーションを担当」と記事タイトルに書かれていればその人の知名度で注目を集められるポジションにあるとして「タレント」とします(※ただし吹替で参加した声優・タレントさんが兼任でナレーションも担当しているのはグレーゾーンとして個々に判断しました。あくまでその映画に参加はしてないけどナレーションは担当するという絶妙さを味わいたいので)。また、本編映像にナレーションを付けたものもひっくるめてここでは「タレントナレーション予告編」と定義しました。果たして本当に増加傾向にあるのか、オファーされるタレントに傾向やトレンドがあるのかどうか見ていきましょう。

 

2019年

「キャプテン・マーベル」本予告解禁、中村悠一がナレーション担当 - 映画ナタリー

キャプテン・アメリカの吹替担当の中村悠一さんという文脈があるので入れさせて頂きました。

 

浪川大輔がナレーション、ニコラス・ホルト主演「トールキン 旅のはじまり」予告(動画あり) - 映画ナタリー

こちらもRotR繋がりでフロドの日本語吹替を担当した浪川大輔さんです。正直こういうオファーは技アリで嬉しいです。

 

『ファイティング・ファミリー』本予告公開 くりぃむしちゅーの有田哲平がナレーション担当|Real Sound|リアルサウンド 映画部

こういうのちょうだい!もっと!こういう「◯◯です!」と名乗って始まるやつこそ純粋な「タレントナレーション予告編」という感じでグッときます。

 

高嶺の花を射止める方法教えます!山里亮太が「ロング・ショット」予告にナレーション - 映画ナタリー

高嶺の花を射止める恋愛映画のナレーションに山里亮太さんという采配、素晴らしいと思います。

2019年:4本 あら、少なめですね。

 

 

2020年

『鵞鳥湖の夜』男女の視点で描いた異色の予告編 ナレーションに村上淳&中村優子|シネマトゥデイ

いやーこれはいい!『鵞鳥湖の夜』は大好きな映画なんですがこの男サイド・女サイドからの二つの雰囲気たっぷりなナレーションという宣伝はめちゃくちゃいいですね。とにかく色っぽい。

 

『モンテッソーリ 子どもの家』本上まなみ&向井理のナレーション入り予告編 独自の教育の数々が|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 

『キングスマン:ファースト・エージェント』ワールドプレミア開催 木村昴参加の新映像も|Real Sound|リアルサウンド 映画部

エグジーの日本語吹替って木村昴だったんだ…!

 

劇場に熱狂が戻る光が見えてきた、大塚芳忠ナレーションの「TENET」新予告(動画あり / コメントあり) - 映画ナタリー

大塚芳忠さんがテレビ朝日版『ダークナイト』でジョーカーの吹替を担当したから、という少し遠回し感のあるオファーです。この頃ちょうど鬼滅の刃ブームもあったので鱗滝さんというキャッチーさもあったのかもしれません。(もしくは鶴見中尉?)

 

「魔女がいっぱい」岡本信彦が魔女の見分け方を伝授、「とても魅力的なヴィラン」(動画あり) - 映画ナタリー

 

『イーディ、83歳 はじめての山登り』予告編公開 ナレーションは田口トモロヲが担当|Real Sound|リアルサウンド 映画部

思った以上にプロジェクトXっぽくてびっくりしました。

 

『トータル・リコール 4K』予告編公開 ナレーションは『金ロー』元ナビゲーターの坂上みき|Real Sound|リアルサウンド 映画部

金ロー感全開!!

2020年:7本 ちょい増えた。パンデミックが本格化した年でもありましたね。

 

 

2021年

キングよ永遠なれ、チャドウィック・ボーズマン主演作「21ブリッジ」を田村真が紹介(動画あり / コメントあり) - 映画ナタリー

こちらも声優さんですが『ブラックパンサー』のティチャラの吹替と紐付けて田村真さんが解説しているのがとても誠実な文脈でいいなと思いました。

 

リーアム・ニーソン主演『ファイナル・プラン』7月公開 津田健次郎ナレーションの予告編も|Real Sound|リアルサウンド 映画部

出ましたツダケンさん!

 

『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』恐怖映像収めた日本版予告編 ナレーションは諏訪部順一|Real Sound|リアルサウンド 映画部

諏訪部さんも手堅い仕事。

 

『ベイマックス』声優がナレーション担当 『ロン 僕のポンコツ・ボット』ティザー予告公開|Real Sound|リアルサウンド 映画部

えっいいの!?と一瞬思ったんですがディズニー傘下のアニメなのでセーフ。

 

津田健次郎がナレーション ヒュー・ジャックマン『レミニセンス』日本版特報&ポスター|Real Sound|リアルサウンド 映画部

本日2回目のツダケンさんです。

 

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』10月22日公開へ 木村昴ナレーションの吹替版予告も|Real Sound|リアルサウンド 映画部

木村昴は吹き替えとして参加しているのでレギュレーション外なのですが、この予告編の異様なハイテンションが大好きなのでつい…

 

声優・能登麻美子がナレーション R18+ホラー『マリグナント 狂暴な悪夢』特別映像公開|Real Sound|リアルサウンド 映画部

能登麻美子さんはこれが初のホラー映画予告ナレーションだそうです。それがあの傑作『マリグナント』だったのは誇るべきことだと思います。

 

宮世琉弥、青春映画の予告ナレーションでザ・スミスの魅力に触れる(コメントあり) - 映画ナタリー

 

「マトリックス」新作の本ポスター解禁、遠藤憲一や水野勝、かまいたちのコメントも - 映画ナタリー

マトリックス』一作目から予告編のナレーションを担当してきた俳優の遠藤憲一さんが『レザレクションズ』でも担当!こういうのはシンプルに嬉しいですね。

2021年:9本 声優さんのナレーションが増え、それが映画サイトにピックアップされる案件が増えました。まさに『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』以降の声優ブームを感じます。

 

 

2022年

「スペンサー ダイアナの決意」が今秋公開決定、予告編ナレーションは沢城みゆき - 映画ナタリー

沢城みゆきさんは大好きな声優さんですがなぜダイアナのナレーションなのか…関連性が分かりませんでした。

【2024/02/16追記】

“ダイアナプロジェクト”アンバサダーに米倉涼子が就任! 映画『スペンサー ダイアナの決意』ナレーション入り本予告映像が公開 - otocoto | こだわりの映画エンタメサイト

米倉涼子版もあると教えて頂きました!2013年の映画『ダイアナ』でナオミ・ワッツ演じるダイアナの吹替を担当したことがあるそうです。【追記終わり】

 

大沢たかお、檀れいが「ナイトメア・アリー」日本版予告でナレーション(コメントあり) - 映画ナタリー

だんだんタレントナレーションっぽくなってきましたね!

 

素顔に迫るドキュメンタリー「オードリー・ヘプバーン」予告編、語りは池田昌子 - 映画ナタリー

オードリーの吹替を担当した池田昌子さんという技アリオファー。良いですねえ。

 

『エルヴィス』津田健次郎ナレーションの特別映像公開 主演俳優が語るライブシーン秘話も|Real Sound|リアルサウンド 映画部

ツダケン3件目。

 

これ大好きです。これなんかもうご本人が出てきてるのでタレントナレーション映像と言っていいのか?と思うんですが素晴らしい出来なのでOKとします。

 

松重豊がナレーション担当、レストランの人間模様収めた「ボイリング・ポイント」予告(動画あり) - 映画ナタリー

孤独のグルメならぬドッタバタグルメ!

 

ナ・ホンジン原案のホラー「女神の継承」予告とポスター公開、ナレーションは國村隼(コメントあり) - 映画ナタリー

きたっ…!ナ・ホンジン『哭声』繋がりで國村隼さんナレーションの『女神の継承』予告編!これ本当に怖かった…

 

カトリーヌ・ドヌーヴ出演「愛する人に伝える言葉」予告解禁、ナレーションは笠井信輔(動画あり) - 映画ナタリー

 

「ミセス・ハリス、パリへ行く」大竹しのぶがナレーション担当する予告編解禁(コメントあり) - 映画ナタリー

 

「レイフ・ファインズのファン」津田健次郎ナレ入り『ザ・メニュー』日本オリジナル予告 | cinemacafe.net

ツダケン4件目。しかしナレーションいいわあ…

 

「Fate」ガウェイン役つながり、水島大宙が語り担当「グリーン・ナイト」本予告 - 映画ナタリー

A24とFGOが繋がる日が来るとは予想していませんでした。

2022年:12本 おおお増えましたね!しかも声優ナレーションもありつつ芸能人の案件も増えました。

 

 

2023年

ニコラス・ケイジが“どん底俳優”演じた主演作の予告完成、ナレーターは諏訪部順一 - 映画ナタリー

諏訪部さん!

 

北イタリアを舞台に友情ドラマ紡ぐ「帰れない山」、三上博史が特報のナレーション担当(動画 / コメントあり) - 映画ナタリー

 

金熊賞受賞作「アダマン号に乗って」本予告到着、ナレーションは内田也哉子(コメントあり) - 映画ナタリー

 

すべてのはみだし者に贈る「ゴーストワールド」予告編、ナレーションは中島セナ(動画あり / コメントあり) - 映画ナタリー

 

“ファイヤー”サポーター:なかやまきんに君がワイスピを激推し!!アツさ爆裂!TVCMスポット&コメント映像が到着!キャラクターポスター(なかやまきんに君ver.)も解禁!!

出ましたきんに君!安定した仕事っぷりです。22、23年といい仕事が続いたので2024年も期待してます!

 

斎藤工が本予告をナレーション『ストールンプリンセス』INIの新曲が主題歌に | cinemacafe.net

僕自身もクラウドファンディングに参加した『ストールンプリンセス』もタレントナレーション予告です!しかも配給会社の代表の方と斎藤工さんが町で偶然すれ違ったのがオファーのきっかけというエピソードもいいですよね。

 

「ボブ・マーリー:ONE LOVE」の日本オリジナル特報到着、津田健次郎がナレーション - 映画ナタリー

ツダケン5件目。

 

宮野真守のナレーション収録「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」予告編が到着 - 映画ナタリー

チャーリーとチョコレート工場』でジョニー・デップの吹替を担当した宮野真守さんがナレーションということですがその映画とこの映画は別に繋がりがあるわけではないのでニントモカントモ…マモのお仕事自体は最高です。

 

ジェシー・アイゼンバーグ監督作の予告解禁、大塚寧々と鈴木福がナレーション(コメントあり) - 映画ナタリー

日本のジュリアン・ムーアこと大塚寧々と日本のフィン・ヴォルフハルトこと鈴木福くん。

 

少女が自分を解き放つ「コット、はじまりの夏」予告、青葉市子がナレーション担当 - 映画ナタリー

映画の雰囲気と青葉市子さんの静かで繊細な雰囲気がベストマッチでした。

2023年:10本 まだまだ健在!

 

そして…

2024年

指原莉乃が映画ナレーション初挑戦、エマ・ストーン主演「哀れなるものたち」新映像(コメントあり) - 映画ナタリー

 

なんてアメージング…叶姉妹がナレーションを担当した「ジャンヌ・デュ・バリー」予告(コメントあり) - 映画ナタリー

 

太田光がウディ・アレン監督作の予告ナレーション「映画の神様、助けてくれ~!」 - 映画ナタリー

 

井上芳雄がミュージカル版「カラーパープル」絶賛、夏木マリや城田優の推薦コメントも - 映画ナタリー

 

渡辺謙がナレーションを担当 『オッペンハイマー』日本版オリジナル予告&ポスター公開|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 

藤森慎吾、タモリの“チャラ男肯定”が自信に 「ネクスト・ゴール・ウィンズ」スポット映像でナレーション担当 : 映画ニュース - 映画.com

いかがですか。なんと2024年は始まって約1ヶ月弱で既に6件もタレントナレーション予告編があるのです。これは明らかに増加傾向ですしこのペースで行くと20件は行くんじゃないかと勝手に睨んでいます。

結果としては以下の通りとなりました。

2019年:4本

2020年:7本

2021年:9本

2022年:12本

2023年:10本

2024年2月:6本

2020年から増加しているのはやはりパンデミックの影響があると感じます。お笑い芸人やタレントをPRイベントに呼んで注目を集めるというビジネスモデルが難しくなった時期にTVCMや芸能ニュース、ネット媒体で幅広くPRするための代替策の一つだと感じました。また、作品に直接影響を与え、DVDや配信にまで残るタレント吹替という文化に対する意識の変化が「タレントナレーション予告編」という形に変化したのかな、と個人的に思います。

あと印象に残ったのはツダケンさんの多さですね。今回は洋画に絞りましたが日本映画を含めるともっと増えます。こうして並べて見ると予告編のナレーションはツダケンさんに任せておけば大体いい感じになると思いました。

そしてみなさん、お気付きでしょうか。『トールキン』『ナイトメア・アリー』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』『ネクスト・ゴール・ウィンズ』とサーチライトピクチャーズの映画にタレントナレーションが多い傾向があるということを。今回の検証期間からは外れていましたが2018年の『犬ヶ島』も坂上忍によるタレントナレーション予告編がありました。

これは今回調査してみて初めて気付いた傾向ですね。この謎については引き続き調査したいと思います。

いやーしかしやってみるもんですね。こんなこと誰も気にしてないと思いますがいざ気にしてみるとやっぱり傾向が見えてきました。調べるのはクソめんどくさいのですが、またこういう気づきがあった時はやってみようと思います。

 

結論:

・タレントナレーション予告編は増えている。

・ツダケンさんは現代の予告編ナレーション請負人。

・サーチライトピクチャーズはタレントナレーションが大好き。

月刊おもしろ映画宣伝 2024年01月号

こんにちは、ビニールタッキーです。

2024年、新しいことをやってみようという試みの一つとして「月刊おもしろ映画宣伝」を初めてみます。毎月末にその月にあったおもしろ映画宣伝をピックアップするブログ連載です。

そもそも私が毎年開催している「この映画宣伝がすごい!」についてはその発表時期が近づいてくると1年分をまとめて調査・収集し始めるという大仕事で、実のところかなり大変でした。一応ネタになる案件を発見次第オンラインブックマークなどに収集してはいるのですが、改めて調査すると取りこぼしも多数あって、結局1から作り上げているようなものなのです。だったら月毎にきっちり調査しておいて「この映画宣伝がすごい!」の時にそれらをまとめれば効率的なのでは…と思ったのです。

まあそんな内輪の事情はさておき、記憶が新しいうちにまとめておくことも大切ですよね。特に映画宣伝は流行り物なのでどんどん流れて行ってしまいますし。というわけで「月刊おもしろ映画宣伝 2024年01月号」行ってみます!

 

ヨルゴス・ランティモス監督作『哀れなるものたち』のスポット映像において指原莉乃さんがナレーションを担当。このタレントナレーション映像というジャンル、少しずつ増えてるような印象があります。タレント吹き替えほど作品に直接影響せず、映像に顔出しもしないほどささやかだけれど、タレントが関与することで映画情報誌以外の一般媒体にも情報が広がりやすいという作品にも宣伝にも配慮された手法だと感じます。指原さんというチョイスもナイスです。しかし持ち前の声の明るさでなんか楽しい恋愛映画みたいに思えてくるのが少し笑ってしまいます。

映画『哀れなるものたち』公開記念プレゼントキャンペーン - アンドリューのエッグタルト

アンドリューのエッグタルトと『哀れなるものたち』のコラボ!確かに劇中でベラ(エマ・ストーン)がモリモリ食べていたのでナイスコラボだと思います。その後食べすぎてアレしてたような気もするのですが…細かいことは気にしない!

 

『ミツバチと私』のイベントに子役の村山輝星さんが登壇。きらりさんはEテレの「えいごであそぼ」に出ていた時から知っていたので「ついてに映画宣伝にも参加するようになったのか…」感慨もひとしおです。

 

ある意味「日本芸能界のエクスペンダブルズ」ことたけし軍団つまみ枝豆さんと水道橋博士が『エクスペンダブルス ニューブラッド』の宣伝に登場。スコット・ウォー監督とのオンライン中継を繋いだイベントでした。しかし世界の北野武という飛び道具があっても「スタローンと共演したい」という「ハリウッド映画監督とのPRイベントでよくあるやり取り」になってしまうのはうーん…という感じでした。

 

【筋肉×筋肉=大人の事情を超える】「エクスペンダブルズ」が「ダンベル何キロ持てる?」の人気曲「お願いマッスル」と夢のコラボ : 映画ニュース - 映画.com

こちらは『エクスペンダブルズ ニューブラッド』と筋トレアニメダンベル何キロ持てる?』がまさかのコラボ。主題歌「お願いマッスル」をエクスペ仕様にアレンジしたオリジナルバージョンと映画の名シーンを組み合わせるという丁寧な仕事に感動しました。アニメの方にはジェイソン・ステイサムを思わせるジェイソン・スゲエサムというキャラクターもいるということで的確なコラボだと思います。正直エクスペ4の国内宣伝には色々と思うところがあったのですが、この突き抜け方は逆にアリだと思いました。

 

ぺこぱとサンシャイン池崎が4DX体験 松陰寺「両サイドがうるさかった」 - お笑いナタリー

『アクアマン』の続編『アクアマン/失われた王国』の4DXの宣伝にはサンシャイン池崎さんとぺこぱと村重杏奈さんが登場。映画ファン的には『マン・オブ・スティール』から始まったDCEUの最後の作品という重苦しい位置付けですが、国内宣伝的には「アクアライド」と遊園地感のある楽しい映画という感じの売り出しで、そっちの方がこの映画のアッパーなテイストに合っていると感じました。『アクアマン/失われた王国』は前作の宣伝に引き続きメンディーさんが参加されていたりとアゲ感を重視してるのが良かったですね。

関口メンディー&村重杏奈が「アクアマン」続編アンバサダーに スピード感たっぷりの新作は「テーマパークのアトラクションみたい」 : 映画ニュース - 映画.com

さらにはアクアマンのもう一つの魅力であるファミリー観にちなんで藤岡弘、ファミリーが登場。今まで家族揃ってPRしてきましたが今回は父親抜きで子どもたちだけでPRしていたのでPRウォッチャーとしては感慨深くなりました。(何視点?)

 

個人投資家たちの大逆転バトル映画『ダム・マネー』のPRイベントにリアル投資家のテスタ氏が登場。投資家視点から見たこの映画のタイムリーさ、映画内の投資スタイルのダメさなどがわかって面白かったです。

 

『ウイッシュ』の応援上映記念イベントには横澤夏子さんと人気ボイトレYouTuberのおしらさんが登壇。先の『ダム・マネー』のイベントもそうでしたが、ここ最近はYouTuberの方が登壇されるようになって(=TVやエンタメ情報誌の耳目を集めるようになって)面白い傾向だなと思います。

 

なんてアメージング…叶姉妹がナレーションを担当した「ジャンヌ・デュ・バリー」予告(コメントあり) - 映画ナタリー

フランス映画『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』の予告編ナレーションを叶姉妹が担当。これも先述のタレントナレーション映像です。マジで最近増えてると思うの…

おフランス映画ということでシャンパンを飲みながらトークをするイベントというのもありました。あらオシャレねえ…とイベントの様子を見ると当時のフランスの風習や知識なども知れるいいイベントでした。お酒と知識を頂けるイベント、いいですね。

 

ジェイソン・ブラム初来日!アカデミー賞ノミネートの「ゴジラ-1.0」を絶賛 : 映画ニュース - 映画.com

『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』のPRで初来日したジェイソン・ブラムのイベントにゆりやんレトリィバァが登壇。ゆりやんさんは過去にもリュック・ベッソンに会ったりしているので冗談が通じそうな海外大物ならとりあえずゆりやんに任せとけ!みたいな業界ルールがあるのでしょうか。

 

 

そして2024年1月のおもしろ映画宣伝MVPはこちらです。

アリ・アスター監督、雑誌「CLASSY.」の人気企画「着回しDiary」に本人役で登場 : 映画ニュース - 映画.com

「ミッドサマー」で知られるアリ・アスター監督の最新作「ボーはおそれている」と、雑誌「CLASSY.」の人気企画「着回しDiary」のコラボが実現。2024年3月号(1月26日発売)に、アスター監督が本人役で登場している。

「もはやファッション誌というより読み物」「ストーリーがぶっとびすぎてコーデが入ってこない」など、独特すぎる展開に困惑する読者続出中の「着回しDiary」。毎月テーマが設定され、その主人公が各シチュエーションに合わせた着回しコーデを披露しながら、物語が展開していく。

ちなみに、2023年は1月「あったか防寒服で街に下りた雪女」、2月「岡山出身 覆面インフルエンサー」、3月「27歳お天気キャスター女子」、4月「春から会社員に転身の元ギャル」、5月「FIRE志望の節約女子」、6月「“宇都宮餃子の名店”の看板娘」、7月「一カ月で世界一周する旅ライター」、8月「官公庁勤務のバリキャリ婚活女子」、9月「スニーカーで奔走する防災女子」、10月「会社から突然左遷通告された転職戦線に立つ会社員」、11月「気がついたら4年彼氏がいないアラサー女子」、12月「推理小説家女子」というラインナップだった。

何から何まですごすぎて頭に情報が入ってきません。色々攻めた設定すぎて着回しファッションが頭に入ってくるのか、そもそもどうやってアリ・アスター監督に説明したのか、どうしてアリ監督はOKしてくれたのか、CLASSY.読者とアリ・アスター映画のベン図はどれぐらい重なるのかなど様々な疑問が湧きますがとにかく達成した時点で最高の企画だと思いました。

 

以上、月刊おもしろ映画宣伝 2024年01月号でしたー!続くといいな!

2023年映画ベストテン+α

こんにちは、ビニールタッキーです。

2023年も楽しい映画ばかりでした。コロナ禍が落ち着き、ようやく本格的に映画館に観客が戻ってきました。一方でハリウッドでは脚本家と俳優のストライキが長期化し、大々的なPR活動や映画製作ができず大幅な影響が出ました。(念のため言っておきますがそれもこれも正当な報酬を払おうとしなかった大手スタジオのせいですからね!脚本家や俳優のせいではありません)他にも『エブエブ』がオスカーで最多7冠、バーベンハイマー現象、MCUの「ヒーロー疲れ」、A24の商業化への路線変更など様々なトピックがありました。

2023年に私が見た映画は新作・旧作合わせて113本でした。本業の仕事の方も忙しかった割に100本超えしたので見れた方だと思います。しかし映画館での鑑賞や試写を優先するあまりNetflixやアマプラなどの配信限定作品はよほど気合を入れないと見逃してしまうという傾向がありましたね…特にアマプラに関しては海外で評価の高い作品が日本ではしれっと配信されることがあるので今後是正したいと思います。

それでは今回もいい映画ばかりでベストテンでは収まりきらないのでベスト20まで含めたベストテン+αでご紹介したいと思います。行ってみよう!


第20位 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

日本のIPがここまで海外で大ヒットするとは思っていませんでした。(『バービー』公開までは2023年最大のヒット作)海外でも親しまれている日本のIPをハリウッドが映画化した成功例として『名探偵ピカチュウ』『ソニック・ザ・ムービー』がありましたが、この作品でホップ・ステップ・ジャンプを決めたような感じだと思いました。しかも単にマリオをアニメ化するのではなく、ドンキーコングマリオカート(見ようによってはスマブラも)のような他のゲームも混ぜ込んで「あの大好きなゲームたちの映画化!」という感じになっていたのが興味深かったです。マリオがマンハッタンに住むイタリア系の配管工という設定を活かした家族観や地元感をストーリーに絡めているのも良かったです。何よりもアニメとして無類に面白かった!ジャック・ブラッククッパも最高でした。

 

第19位 ベネデッタ

ポール・ヴァーホーヴェン監督作。最初に海外評を見たときはエログロにフォーカスが当てられているものが多かった(特にマリア像をアレするくだりが冒涜的だと騒がれていた)んですが、ベネデッタという豪傑ピカレスク映画という感じで最高でしたね。キリストのお告げを受けた!と主張を繰り返すベネデッタの姿を見ていると、戒律が厳しいと見せかけて頭から尻尾まで堕落し切っていた当時の社会に湾曲的に異を唱えているように見えます。ともすれば歴史はこういう女性たちを魔女と呼んできたのかもしれないな…と感じました。ヴァーホーヴェン監督はこの映画を撮影した時に既に80歳越えだったそうですが、歳を重ねても「人間は臓物の詰まった物体」という認識が通底しているのはすごいな、と感じました。

 

第18位 イニシェリン島の精霊

アイルランドの小さな島で男二人が仲違いする」というだけの話がなぜこんなに面白いのか…!確かにこんなつまんない男(コリン・ファレル)とずっと連んでいたらロクな人生にならないな…ともう一人の男(ブレンダン・グリーソン)に共感するんですが、指のくだりのあたりでそんなに…と観客をドン引きさせてサイコスリラーみさえ感じさせる物語が異様で見事です。何となく仕事して終わったらパブでビールを引っ掛けて世間話をするという永遠に続くようなルーティンワーク感の見せ方がうまくて田舎在住民としては見に積まされました。ただ、それに比べたら音楽を愛することが崇高である、というわけでもないというバランスの取れた描き方もうまいなあと思いました。

第17位 キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

スコセッシはとにかく映画が上手い!3時間越えの映画なのに中弛みも無駄も一切なく一気に語ってみせる手腕の凄まじさ。1920年代のオクラホマの先住民居住区で起きた先住民の連続変死事件を追う物語。元々事件を捜査する保安官役でオファーされたレオナルド・ディカプリオが、「こっちの方がいい」と地元の権力者にいいように使われる情けない白人男アーネストを選び、彼の視点で事件の経緯を追う映画にしたという判断が見事。もし保安官視点の話だったらもう少し普通のミステリーになっており、先住民の暮らしぶりや伝統の変化、白人たちのおぞましい人種差別や犯罪がここまで浮き彫りにならなかったと思います。最後にはスコセッシ本人すら出てくる演出にこの物語を語りたいという本気度を感じて唸りました。個人的にはリリー・グラッドストーンに主演女優賞を獲ってほしいと願っています。

 

第16位 ハント

俳優として活躍してきたイ・ジョンジェの初監督作!という下駄をわざわざ履かせなくても素晴らしかった。初監督というフレッシュさよりもこれまで何本も撮ってきたかのような重厚さとエンタメのケレン味のバランスが取れた映画でした。素晴らしい脚本があるが誰も映画化しないので自分が監督した…と本人は語っていますが、彼が監督しなければ集まらなかったであろう韓国映画好きならグッとくる豪華俳優陣のカメオ出演に胸が熱くなります。映画の内容も韓国の実際の大統領暗殺未遂事件をベースに大胆な脚色と政治批判に満ちた痛烈な物語で圧倒されました。それでいて序盤のテロリスト制圧、日本での激しい銃撃戦やラストの大見せ場などアクションエンタメとしての面白さを十分に満たしており、本当に素晴らしいと感じました。もう何本も撮っちゃって下さいよ!と言いたくもなります。

 

第15位 オオカミの家

ブラジルに実在したカルトコミューンを題材にしたストップモーションアニメ映画。まず映画を見始めて、この映画が「カルトコミューンの子どもたちのための啓蒙映画」という入れ子構造になっていることに度肝を抜かれました。ここで描かれていることはコミューンにおける道徳教養であり「こうならないように村から出ないようにしましょうね〜」という子ども向けのプロバガンダになっていることに心底ゾッとしました。そこで繰り広げられるストップモーションアニメは登場人物も舞台も大きくなったり小さくなったり常に形を変えたりと複雑怪奇なもの。しかし実写と見紛うような超絶技巧のストップモーションアニメが話題になる一方で、ストップモーションって本来はこんな風に形をめちゃくちゃに変えてもいいし舞台とキャラが同化してもいいし常に流動的に動き回ってもいい自由な表現方法なんだ!と気付かされました。その自由な表現方法で不気味さや悍ましさを見せるというまさに蠱惑的という言葉の似合う映画でした。この映画にアリ・アスター監督が惚れ込んで自身の新作『ボーはおそれている』に参加をオファーしたという話もこの作品の非凡さを感じさせます。

 

第14位 ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!

あの激亀忍者がセス・ローゲンのプロデュースでアニメ映画化!監督は傑作『ミッチェル家とマシンの反乱』の共同監督の一人ジェフ・ロウという時点でただならぬ雰囲気を感じる映画でしたが予想通り予想以上にはちゃめちゃで胸が熱くなる映画でした。これまで何度もメディアミックスされた作品ですが「ティーンエイジ」の部分に強く焦点を当てたのはこれが初めてではないでしょうか。4人のタートルズを声を演じたのは全員10代。しかも少しオタクでギークな感じの今時の若者という感じです。実際に劇中で話しているポップカルチャーネタは本人たちの趣味や好きなものが反映されているそうです。「普通の高校に通ってみたい」という4人が、高校に行きたくない映画の代表格『フェリスはある朝突然に』に感化されるという引用に笑いましたが、結局は『フェリス〜』のもう一つの側面である親から解き放たれる10代の話に収束していくのがうまいと思いました。「人間の嫌われ者」である生き物たちがヴィランという構図も見事でした。『ザ・ボーイズ』で露悪と社会的メッセージを組み合わせたセス・ローゲンですがこの映画では優しく若者の成長を見守るような感じで面白いな、と思いました。

 

第13位 長ぐつをはいたネコと9つの命

シュレック』に登場した長靴をはいたネコのプスのスピンオフ映画『長ぐつをはいたネコ』の11年ぶりの続編。同じドリームワークスアニメーションの2022年の傑作『バッドガイズ』のような2Dと3Dを組み合わせたアニメーションと大胆なパースや動きを取り入れたアクションがとても楽しい映画です。しかし内容は「這い寄る死をどう考えればいいのか」という非常に重たいもの。9つの命を持っていたプスも自由気ままに生きるうちに命はあと1つになってしまったところから話が始まります。プスを執拗に追いかける殺し屋のウルフ(本作のヴィランであり最強にかっこいい悪役。声はヴァグネル・モウラ、日本語吹替版は津田健次郎!)は死神の象徴でもあります。そんな重たい話に「自分らしく生きるとは何なのか」とか「血の繋がっていない家族にも確実に愛はある」(3びきのクマの家族)とか子ども向け映画として真っ当なメッセージもあってとても良かったと思います。

 

第12位 窓ぎわのトットちゃん

黒柳徹子の自伝小説でベストセラーの『窓ぎわのトットちゃん』のアニメ化。「信頼できる映画好きが推しているので見に行ったら本当によかった映画」というのが毎年必ずありますが今年はこれです。劇場で予告編を見たときに絵柄や雰囲気からあまり期待が持てなかったのですが「とんでもない作品」という情報を聞きつけて観に行きました。本当にすごい映画でした。元々の原作小説が持っていた昭和を懐かしむテイストと戦争が忍び寄る雰囲気を見事に演出していました。特に日常に戦争が忍び寄る感じは食生活の変化やいつも街で見かけるおじさんがいない…などの極力最小限の見せ方をしているのが恐怖を倍増させていたように思います。個人的な話ですが実家の母がいわさきちひろ好きで原作小説もリビングの本棚に面出しで置かれていた家庭環境だった自分にとって劇中でいわさきちひろ風のアニメーションが始まった時は思わず涙が流れました。この『窓ぎわのトットちゃん』をはじめ、『君たちはどう生きるか』『ゴジラ -1.0』『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』など、2023年に公開されたヒット邦画が軒並み反戦映画であったことは記憶に残しておきたいです。

 

第11位 バービー

世界的に有名なバービー人形を『レディ・バード』『わたしの若草物語』のグレタ・ガーウィグが実写化、しかもマーゴット・ロビー率いるラッキーチャッププロダクションの製作でマーゴット自身が主演という企画を聞いたときはひっくり返りました。しかも監督のパートナーのノア・バームバックが脚本に参加していてライアン・ゴズリングがケン役というはちゃめちゃな企画に「絶対普通の映画にはならない」と思っていましたが本当にすごい映画でした。「バービーワールドで楽しく暮らしていたバービーが実存に目覚めて現実世界に行ったら女性蔑視と男性優位主義全開の世界でカルチャーショックを受ける」といういやよく通ったなこの企画!という内容でしかも当のマテル社が男性社会の権化のように描かれていて皮肉を受け入れる欧米の精神を感じました。しかし語られている内容はフェミニズムの教科書の冒頭のような話で少し肩透かしを食らった感じはありましたが、ここから話し始めなければいけないという事態の深刻さを痛感しました。実際にアメリカで空前のヒットを生んだのもこのわかりやすさとケンに象徴される「男もつらいんよ」という内容を含んでいたからだと思いました。また、『バービー』はアメリカのコメディの文脈で見てもとても興味深い映画で、その辺については当ブログで記事を書きましたのでご一読ください。

 

 

第10位 ホーンテッドマンション

今年の10位映画(この映画は自分のベストテンの10位に入れなければならないと感じさせる映画)はこちらです。多分推す人がそんなにいない(北米でも興行的に不振だった)と思われるので個人的にゴリ推ししたいと思いベストテン入りさせました。大好きなラキース・スタンフィールドがディズニー映画で主演!という個人的な思い入れもあるんですが、お話がとてもよかった…!元物理学者の主人公(ラキース)が訳あって歴史ツアーガイドをしているところに幽霊屋敷の調査の依頼が来るが…というお話なんですが、舞台であるニューオリンズの特殊な死生観、ブードゥー教などの怪しい雰囲気、そして曲者揃いの調査隊がお互いを信頼する流れがとにかく素晴らしかったです。特に「お葬式(=死)は悲しいものではなく明るく楽しく祝うもの」というニューオリンズならではの風習がこの映画全体に通底するテーマになっており、それが象徴的に実を結ぶラストにはボロボロに泣きました。何となく避けていた、という方もこれを機会に観てほしい!今ならディズニープラスで見れますよ!

 

第9位 ペルリンプスと秘密の森

ブラジルの監督アレ・アブレウによるアニメーション映画。テクノロジーを得意とする太陽の国のクラエと、自然を大切にする月の国のブルーオが、破壊される森を救うために謎の存在「ペルリンプス」を探す物語。ファンタジー色の強い見た目ですが冒頭から登場する森を破壊する者の姿やお話の構造から何となく現実にある問題を象徴していることがすぐにわかります。しかしこの映画の本当の凄さはそういう観客の何となくの予想を遥かに吹き飛ばすような物語構造にあると思いました。正直、初めて観た時にその予想外の展開と、作り手の決心と志の高さ、そして現実の問題の切実さに圧倒されてしまいました。そこに絡まるカラフルで美しい映像と祝祭のような明るくて躍動する音楽というバランスの妙にも唸ります。アート映画でありながら社会的メッセージも強い素晴らしいアニメーション作品です。

 

第8位 マイ・エレメント

ピクサー最新作にして久々の大ヒット作。正直予告編を観た時はそんなにひかれず、期待値もかなり低めでした。しかし実際に見てみると本当に素晴らしい映画で涙を流してしまいました。こんな自分のような観客が多かったようで、公開週はまずまずの出足だったものの口コミで評判が広がってV字回復したという現象が海外でも日本でも起きたという話を聞いた時は笑ってしまいました。みんな期待値低めだったんかい!水や火のようなエレメントが住む街の話と聞いたときはまた随分ぶっ飛んだ設定だなと思ったんですが、いざ見てみるとそれぞれのエレメントが人種に準えられていて、主人公の火属性の女の子はアメリカにおける韓国系移民であることがはっきりわかる作りになっています。監督のピーター・ソーンは韓国系移民で、両親の望む職に就き、同じ韓国系と結婚することを求められていましたが、結局はアニメーターとなり白人女性と結婚するという人生を歩みました。まさにその監督の経験を元に作られた個人的な映画が、世界中で共感を呼んで大ヒットしたのです。ポン・ジュノマーティン・スコセッシに言われた「個人的な話が普遍的である」という言葉を思い出すような映画でした。もちろんピクサーなので当然のように映像は美しく、特に水と火が交わるとどうなるかという表現にかなり力を入れていたと感じます。またピクサーには珍しくロマンティックな男女の恋愛を描いていたというのも印象に残りました。

 

第7位 ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り

今年のベストテンの中で一つだけ絶対の自信を持って他人に進められる映画というと、この『ダンジョンズ&ドラゴンズ』になります。ファンタジー映画なので少しだけとっつきにくいかもしれませんがドラクエやFFなどのRPGを通った人ならすんなり理解できる世界観だと思います。(むしろD&Dの方が先輩なのでわかりやすい)とにかく登場キャラクターがみんな魅力的で、起承転結がはっきりしているストーリー、性格も特技もバラバラな負け犬チームが人々を救うために奮闘するという王道の展開、アップデートされた価値観や多様性のバランスも素晴らしいという文句のつけようのない完璧な作品です。しかもTRPGの映画化なので「TRPG特有の面白さ」を映画に盛り込むという工夫とそれが見事に成功していることに感動すら覚えます。例えば行動する前によく作戦を練る、という点はまさにTRPGですし、主人公エドガンとホルガ男女であっても恋愛関係にならない感じもTRPGだから(男性が女性キャラ、女性が男性キャラをプレイすることもあるので男女の恋愛みたいなものは物語に入り込まない)という裏話にも唸りました。ゼンク(レゲ=ジャン・ペイジ)を指し示す「セクシーパラディン」という呼称がバズって本人まで届いたという現象もいい思い出です。

 

第6位 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

本当にすごい映画でした。何せ日本公開が本国よりおよそ1年ぐらい遅かったので「ロッテントマトフレッシュ!」「各種映画賞受賞!」といった前情報がどんどん入ってきて「いやスイス・アーミー・マン』の監督コンビ(ダニエルズ)の新作やぞ!?そんなことあるか?」とかなり疑心暗鬼を覚えています。中国系アメリカ人でコインランドリーを営む普通の中年女性(ミシェル・ヨー)が全宇宙・全次元の命運を託されてしまうというぶっ飛んだ話ながら、家族観、アジア系移民のアイデンティティ、映画愛、クィア表現と何もかもをごちゃ混ぜにしているのに感動が湧き上がるという凄まじい映画です。でも冷静に考えると常軌を逸したはちゃめちゃなことが起きているのに最後は謎の感動に包まれるという感じはまさにダニエルズ印であり、その才能が全て良い方向に動いたのだと感じました。ミシェル・ヨーが脚本を読んだ時に「ついに私が何でもできるということを証明できる映画が来た」と涙を流したという逸話も忘れられません。キー・ホイ・クァンの完全復帰作という点でも歴史的映画だと思いました。まあ本当に変な映画なんですが。

 

第5位 ニモーナ

2023年も様々な傑作アニメーションがありましたが個人的にNo.1はこの『ニモーナ』です。中世のような見た目だがTVなどが存在する不思議な世界で、平民出身で騎士になる寸前に濡れ衣を着せられたバリスターと、様々な動物に変身する能力を持つニモーナが手を組んで無実を証明するために奔走する物語です。その独特な中世世界の世界観やピンクの動物に変身して暴れ回るニモーナのアクションも抜群に楽しいのですが、バリスターが騎士団長の男性とゲイカップルであることからも分かる通り、とても多様性を取り入れた作品になっています。そして見て行くうちに、姿形を変えるニモーナにはトランスジェンダーの子どもの意識や悩みが反映されていることがわかります。特に終盤のニモーナの悲痛なシーンは実際に悩みを抱えている子どものSOSのようで胸が痛みます。このように楽しいアニメーションを通して今まさに悩んでいる子どもたち(とその周囲の大人たち)にそっと手を差し伸べるような物語が本当に素晴らしいと思いました。この映画、元々20世紀FOX配下で作られていたものがディズニー買収のいざこざで製作中止になったものの、Netflixやアンナプルナが手を差し伸べて完成させたという経緯があります。特にこの時期のディズニーはクリエイターが提案するLGBTQ描写に対して検閲を行なっていたという内部証言もありましたが、その逆境に負けず、一度潰されても立ち上がり、志ある人たちの助けを得て、無事完成されたこの素晴らしい映画を祝福したいと思います。

 

第4位 ファースト・カウ

西部開拓時代の初期、オレゴン州で周りの荒くれどもには馴染めない料理人のクッキーと、ある理由で追われる身のキング・ルーが出会い、一攫千金のために地域にたった一頭の牛から乳を盗みドーナツを作って儲けようとする話です。西部劇は山ほどありますが、こんなに優しく落ち着いた男二人の映画は見たことがないな、と思いました。おそらく本当は西部開拓時代にもいたはずなのに語られなかった(=いないことにされていた)人々の話だと感じました。男二人がお互いを自然に気遣うような仕草や、日々の淡々とした暮らし、そして他人の牛の乳を盗むというほんの少しの冒険心、そういったささやかだけどかけがえのない場面に胸を打たれます。彼ら二人だけでなく、彼らの手作りの甘い甘いドーナツを食べた荒くれどもの顔が綻ぶところなんかも忘れられません。この映画、内容としても面白いんですが冒頭で現代のシーンがあるのがとても秀逸だと感じました。あのシーンがあるからこそラストの展開の奥行きが広がったのだと思っています。そういう意味で映画としても出来が素晴らしいと思いました。

 

第3位 aftersun/アフターサン

11歳の時に父親と二人で行った海外旅行のビデオを、20年後に当時の父親と同じ歳になった娘が見返すというお話。父とは最後の旅行になったあの日々を見返すことで、当時父は何を考えていたのかを類推して思いを馳せる物語になっています。この「類推する」というのがとても肝で、この映画に登場する父(ポール・メスカル)はあくまで思い出の中の父であり、時折登場する父単独の場面は娘が類推したものになっているということです。そのためいわゆる「信用できない語り部」の話なのですが、その人がもういなくなってから「あの時はこうだったんじゃないか」「こんなことで悩んでたんじゃないか」と類推することの切なさ、寂しさが全体に漂っていました。ビデオの燦々と輝く陽光と荒くて少しギラっとした映像、父の思い出の淡さが何とも言えないメランコリックさを出していて忘れられない映画となりました。特にラストカットは本当に今思い出しても涙が流れてしまいます。ありがたいことに推薦コメントを公式で寄せたのですが、まさに心に染み込むような映画でした。

 

第2位 大いなる自由

同性愛が法律で禁止されていたドイツで、何度刑務所に入れられても愛することをやめなかったハンス(フランツ・ロゴフスキ)の物語。最初は明示されないため少し混乱したのですが、ハンスが刑務所に入れられた3つの時系列を巧みにシャッフルしています。これによって時代の変化とハンス自身の変化を描いていました。なぜこの映画に強く惹かれたかというと、その題材の強いメッセージ性と徹底した間接表現の旨さです。冒頭の淡々とした監視カメラの映像や、その後の刑務官とのやりとり、ハンスが初めて刑務所に入れられた(正確に言うと移送された)時に腕の数字のタトゥーを映すなど、少ないセリフやカットでその背景にある奥行きを感じられる演出が見事です。そして同性愛という内心の自由を法律で奪うことの残酷さが克明に描かれていました。青く冷たい刑務所に差し込む日の光がまるでレンブラントの絵画のような映像、渋く切なく泣いているかのようなトランペットなど、映像も音楽も素晴らしいものでした。果たして本当の「大いなる自由」とは何なのかをまさに投げかけるようなラストの展開も素晴らしかったです。

 

第1位 ボトムス ~最底で最強?な私たち~

モテないレズビアンの高校生二人が憧れのチアリーダーとヤリたいがためにファイトクラブを結成するが…という青春映画。この映画は一定の面白さがあるのでランキング10位以内に入れる人も多いと思うんですが、自分としてはこれを1位にしなければならないという使命感を感じました。こんなにしょうもなくて、下品で、バカバカしい、レズビアンの高校生の映画が作られたということが本当に嬉しいんです。『ブックスマート』が公開された時「こんなにしょうもない女の子の青春映画が作られるなんて」という風に評されていましたが『ボトムス』はその数十倍しょうもないです。モテない男子二人がなんとかしてモテようと嘘をついたり奮闘したりする青春映画、という童貞青春映画のフォーマットをそのままレズビアンの高校生に置き換えただけでこんなに破壊的で革新的な映画になるとは思いませんでした。うっかりついた嘘が女性のエンパワーメントのムーブに巻き込まれていくというストーリーなんて普通の作り手には考えつかないものだと感じました。終盤の「でもやるんだよ!」的な大乱闘シーンが特にめちゃくちゃ好きで、画面で起きてることは流血と馬鹿みたいなどんちゃん騒ぎなんですが涙を流してしまいました。アヨ・エデビリとレイチェル・セノット、チアリーダー役のハバナ・ローズ・リウや友人役のルビー・クルーズといった注目の若手俳優が大活躍してるという点でも本当に見れて良かったと思いました。唯一の心残りはこれが劇場公開ではなくアマゾンプライム限定配信だったことですね…こればかりは仕方のないことですが、逆に言えば見やすいということなので気になった方はぜひ見てください!下品な映画ですが!

 

以上です。いやー2023年も色んな映画を見れました。2024年も始まったばかりで色々辛いことや悲しいことが起きていますが、映画というエンタメで心の健康と価値観を養うことを続けたいと思います。ではまた!

「ビニがさ新年会2024」の思い出!

こんにちは、ビニールタッキーです。

2024年1月7日(日)に渋谷の東京カルチャーカルチャーにてトークイベント「ビニがさ新年会2024」を開催しました。

友人であるイラストレーターのぬまがさワタリさん、同じく友人で会を取り仕切ってくれるライターの始条明さんと一緒に好きな映画やドラマについて語るというトークイベントで、発祥は2019年に開催したビニがさ忘年会です。コロナ禍などを挟み約4年ぶりの開催ということで主催者側も「どんな感じだったっけ…」となりながらの開催となりました。

 

めちゃくちゃオシャレできれいな東京カルチャーカルチャー。天井が高くてスッキリしているのが印象的でした。DPZファンとしてはここがあのカルカルか…!と感慨も一入でした。

軽い自己紹介の後、まず僕が披露したのは「この関係性がすごい!2023」です。2023年に見た映画・ドラマ・映像作品で印象に残った関係性について語るというプレゼンです。前述した2019年の忘年会で初披露したものですが、普段から僕がSNSや映画ファンとの集まりとかで語っている「あの二人良かったよね〜」という世間話を大勢の前で披露するという冷静に考えると正気ではないプレゼンです。

全てについては言及しませんが『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』のエドガン(クリス・パイン)/ゼンク(レゲ=ジャン・ペイジ)の内なる善性を見出す関係性、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』のノア(アンソニー・ラモス)/ミラージュ(ピート・デヴィッドソン)の生命体の垣根を超えた熱い関係性、『コカイン・ベア』のエディ(オールデン・エアエンライク)/ダヴィード(オシェア・ジャクソン・Jr.)のギャングの義兄弟という建前よりも深い関係性等について特に深く語りました。そして一つだけ映画でもドラマでもない『プロフェッショナル 仕事の流儀 ジブリ宮崎駿の2399日』が入っていますが「宮崎駿高畑勲に関係性を見出そうとする第三者視点の"解釈"が趣深いドキュメンタリー」という話ができて良かったです。

2つ目は僕自身が選ぶ2023年映画ベスト20…には入り切らなかったけどそれぞれの良さがあり忘れられない映画を「2023年の忘れられない映画たち」という形で紹介しました。作品名だけ羅列すると『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』『FALL/フォール』『高速道路家族』『マッド・ハイジ』『イノセンツ』『きっと、それは愛じゃない』を紹介しました。こういうのってどこかに書き残したり語ったりしないと自分も忘れてしまうので改めて紹介することができて良かったです。

そして3つ目は「2023年おもしろ映画宣伝ピックアップ」。こちらについてはおそらく数ヶ月後に発表する「この映画宣伝がすごい!2023」でじっくり語ることになるのでお楽しみに取って置きます。ちょっとだけ触れるならば、松島トモ子さんのコメント、ジェフ・カッツプロデューサー、長州力の降霊チャレンジなどの案件は会場に大きな笑いが起きて嬉しかったです。

僕のプレゼンが終わると次はぬまがささんのプレゼンです。詳細についてはぬまがささんの記事をご参照ください。

「私が考えた最強の十二支」で語る、2023年の素晴らしき映画たち!というプレゼンで、動物たちを中心に2023年の映画を振り返るというまさにぬまがささんならではの視点の話で面白かったです。隣で合いの手やツッコミを入れていた人間の感想としては「ぬまがささんがいつも書籍やSNSで描かれている解説イラストをライヴで浴びる最高の体験」という感じでした。細かい引用や小ボケに笑いつつ、真面目な解説部分は丁寧で聴き応えがありました。個人的には『ファースト・カウ』好きとして「西部開拓と牛」の話(ひいては先住民とバイソンの話)や、ロバが象徴する「掘り下げられない歴史」の話など、マジョリティ視点から離れた、少数やマイノリティの立場で見る歴史や動物の話がとても興味深かったです。あと某有名SF小説のネタバレギリギリのネタが出てきた時は僕も全力でぼやかしたりして楽しかったです。(イベント前日にたまたまその小説を読み終えていた自分のファインプレーも褒めたい)

会場後方のフリースペース。お菓子に這い寄る動物が!今回地元の静岡土産としてうなぎパイ東京ラスク(東京と言いつつ伊豆の天城湯ヶ島の工場で作られているれっきとした静岡土産)を持参して行ったのですがあっという間になくなってしまったようで嬉しかったです。

その後は休憩を挟みつつQ&Aコーナーの前に2024年の楽しみな映画の話を少しだけ。ちょうどぬまがささんが応援券を購入して下さった方や会場の方のリクエストに答えてイラストを描く作業に入っていたのでその間を取り持つトークテーマとして良かったと思います。

そして最後はQ&Aコーナー。チケット購入時に事前に寄せられていた質問について壇上にて回答するというコーナーでした。ここではざっくりといくつかご紹介します。

 

Q. 一日どれくらい映画や映像作品を見るか?

→僕の場合は1週間に2,3本見れたら御の字という感じです。これに関連して「日々忙しくて映画館に行ったり映像作品を見たりする時間が取れない」という質問もありましたが、僕も全く同意見です。ぬまがささんが仰っていた「ちゃんと時間を取ってきっちりと見ようとしなくていいのかも」という話がとても良かったです。僕も2時間の映画を見るなら2時間腰を据えて見るのが一番だとは思いますが、時間が取れずネトフリのマイリストに延々と積読状態になってしまうことがよくあります。だったら読書のように少しずつ見るというのもアリなのかな…と思います。実際僕も忙しいとそうしますし。

Q. 何かの続編やあの登場人物のスピンオフが見たい!という作品はある?

アンクル2(かなり無理そうだけど…)、ダンジョンズ&ドラゴンズ2(興収があれだったので厳しいけどクリパはやる気)、イコライザー4(3にファイナルって付けちゃったけどリターンとかリベンジとかレザレクションとか付けてしれっと帰ってきてマッコールさん!)、バッドガイズ2(僕はウルフ/スネーク派ですがぬまがささんはダイアンさんに巨大感情を持つ女性キャラクターが出てきて欲しい!と語っていました)、スパイダーグウェンの単独映画(これ会場でめちゃくちゃ賛同を得られてうれしかった!マイルス君も大好きだけどあんなに魅力的なグウェンの単独映画がないのは勿体無い!)、ワイスピ女性チームのスピンオフ(ミシェル・ロドリゲスネキがやる気。ずっと待っています)、007のパロマ(アナ・デ・アルマス)とノーミ(ラシャーナ・リンチ)のスピンオフ(作ってくださいよ!!)

Q. 映画の中の好きな食事シーンを教えて欲しいです

→最も好きなのは酔拳』のタダ飯食いシーン。今年見た中だとイコライザー3のマフィアが仲良くパスタを食べるシーン。そんな余裕こいてるからマッコールさんにボコされるんだよ!

Q. 映画館で体験した珍事件などありますか?

→この質問をされた方の「例えば私は『女神の継承』を見ている時に席を移動し続けるおじいさんに遭遇しました」という体験談が怖すぎる!と盛り上がりました。珍事件というほどではないのですが地上在住者としてはやっぱりワイスピが公開されるとシネコンの駐車場に停まってる車が全部ワイスピみたいになる現象が好きですね、という話をしました。

Q. こんなおもしろ映画宣伝が見たい!とかありますか?

→こんなこともあろうかと…と時間の都合で省略していた「2024年おもしろ映画宣伝予想」プレゼンを取り出したら笑いが起きて良かったです。そこで披露したんですが『猿の惑星 キングダム』と『キングダム 大将軍の帰還』は何かしらコラボがあると思うんですよね…

そんな感じで気付けば予定の4時間を少しオーバーするほどギリギリまで喋ってしまいました。特にぬまがささんはトークが終わった後も最後までイラストリクエストに答えていてイラストレーターすごい…!と思いました。

現地で頂いた感想やハッシュタグ #ビニがさ新年会 の感想を追ってみると「安心できた」「セーフスペース感があった」という感想があって嬉しかったです。色々なトークイベントがあると思いますが、自分がするなら、明るく笑えて下らなくて、でもホッと安心できて、そこに真面目な問題提起もあるようなものにしたいと常に思っているので本当に嬉しかったです。もちろんぬまがささんの人柄やアキラさんの準備のお陰でもあります。Q&Aの中には「最近の気力の保ち方について聞きたい」という質問がありました。ここ最近国内外で起きている様々なこと、そして2024年の年始に起きた様々なことを含めた質問だと考え、自分自身が心がけていること、SNSとの付き合い方、そしてエンタメの大切さについて真面目に答えました。自分も含め不安を抱えた状態で参加された方も多かったと思うので、我々のトークや雰囲気で少しでも安心できたなら何よりだと思いました。

また「お一人様参加だったけど他の方と映画の話で交流ができた!」という感想もあってめちゃくちゃ嬉しくなりました。まさに自分も田舎在住で誰も仲間がいない映画ファンなのでこうやってみんな集まって「なんだ映画ファンっていっぱいいるんじゃん!」と思えるイベントになったなら何よりです。(事前Q&Aに「コミコンに行くとどこにこんなに映画ファンが隠れていたんだ…ってなります」みたいな話があって本当にそれ…!と思いました)

イベント終了後の打ち上げで食べたキューバンサンド(A.K.A. シェフ 三ツ星フードトラック始めました)&ティッタートッツ(A.K.A. ホーンテッドマンション)。重量級でめちゃくちゃ美味かった。

打ち上げでは「次はこんな詰め詰めじゃなくてゆとりあるイベントにしましょう…」という話になりました。まあ正直なところ久しぶりのイベントですしそこそこ金額高めでもあるので満足度高めにしなければ!という使命感で4時間喋りっぱなしとなってしまいました。

また、もう少し来て下さった人たちとお話ししたかったよね…(参加者のベスト3をもっとじっくり見てお話ししたかった!)とか、黒字化って大変よね…(別にお金儲けのためにやってるわけではないですが今回はスーパーギリギリでした)とか色々と反省点はありましたが次回もまたやりたいねという前向きな結論に至りました。「定期的にお願いします!」というご意見も頂きましたし、次もやりましょうね。ぬまがささん、アキラさん、ありがとうございました!

2023年映画お仕事まとめ

こんにちは、ビニールタッキーです。

ありがたいことに2023年も様々な映画関係のお仕事をさせて頂きました。応援コメントの寄稿や雑誌の記事、対談など色々やらせてもらいました。まあ普段は普通の会社員をやっているのでそんなに数あるわけではないのですが、自分用の備忘録も兼ねてまとめてみます。「こんなことやってんだー」ぐらいの気持ちでぜひ見てみて下さい。

 

2月

映画『アラビアンナイト 三千年の願い』コメント

改めて思い返すとすごい映画でした。

 

Hulu公式ブログ連載『野球少女』

 

3月

映画『フェイブルマンズ』期待コメント

「『フェイブルマンズ』鑑賞前にスピルバーグ愛を語って下さい!」という依頼でしたね。その後実際に鑑賞したら「映画という幻想と現実を移すもの」への愛憎混じった話でじんわり感動しました。

 

Hulu公式ブログ連載『SNS -少女たちの10日間-』

 

4月

映画『aftersun/アフターサン』コメント

本当に大好きな映画です。

 

映画『高速道路家族』コメント

 

Hulu公式ブログ連載『タリーと私の秘密の時間

 

5月

映画『MEMORY メモリー』オピニオンコメント

 

Hulu公式ブログ連載『ドライブ・マイ・カー』

実は初見だったのですがめちゃくちゃ良くてびっくりしました。みんな見た方がいいよ『ドライブ・マイ・カー』!(周回遅れ)

 

7月

映画『Pearl パール』コメント

マジであの笑顔は目に焼きつく。「監督早くカットって言って!」ってなった。

 

映画『マッド・ハイジ』応援コメント

どう見てもイロモノB級映画の『マッド・ハイジ』ですが(実際ほとんどそうですが)個人的には「B級映画の皮を被った大真面目な映画」という印象です。

 

映画『イビルアイ』コメント

 

日刊サイゾー「何でもA24ってつければいいって問題じゃない!今こそ落ち着いて考えよう」インタビュー

とある場所で話した「A24って付けとけば売れるみたいな風潮が気になります」という話が盛り上がってインタビュー記事となりました。この後A24の路線変更の噂が報道されたりしてまさに潮目の時期だったのかな…と今にして思います。

 

8月

映画『インスペクション ここで生きる』コメント

雑誌ブルータス「怖いもの見たさ。特集」

とにかく様々な「怖いもの」を集めたブルータスの特集号に「北欧ホラー」の魅力を語るページで掲載されました。北欧ホラーは元々好きだったんですが改めてこの特集のために見返してその奥深さを感じました。ちょうど『イノセンツ』や『シック・オブ・マイセルフ』の公開時期で北欧が盛り上がっていたのも良いタイミングでした。

 

9月

映画『キリング・オブ・ケネス・チェンバレン』コメント

凄まじい映画でした。

 

映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神 4Kレストア版』コメント

子供の頃に初めて見て以来、周りに何と言われようとも「大好きな映画」と言い続けていたら推薦コメントのお仕事をもらえて本当に嬉しかったです。久しぶりに見返したらやっぱり最高だったのも嬉しかった…

 

映画『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』パンフレットで対談

このウクライナのアニメーション映画を日本で配給するために奮闘した配給会社エルフィルムズ代表の粉川なつみさん(すごい人です。詳細は↓記事などご参照ください)とパンフレットで対談させて頂きました。クラウドファンディングに参加した一人の人間にこんな機会を頂けて本当に感謝しかないです。一人の観客として率直にお話させてもらいました。

 

11月

映画『インファナル・アフェア 4K』コメント

 

映画『マーベルズ』期待コメント

「地元で最強の先輩」というフレーズが採用されて良かった。

 

11月

雑誌anan「トレンド大賞2023 特集号」今年話題になった劇場公開作品 記事

最初依頼を受けた時「トレンドなんて自分に語れるのかしら…」と思っていたんですが割と売れ筋の映画ばかり見ているので何とか語れました。しかし!何よりも嬉しかったのは商業誌で初めて「おもしろ映画宣伝」の話が掲載されたこと!おもしろ宣伝の写真の掲載許可はかなり大変だったと思うのですが担当の方の頑張りのおかげでかなり掲載されました!その節はありがとうございました!

 

12月

映画ナタリー「2023年の映画界を振り返る、村山章×西森路代×ビニールタッキー鼎談」

今年の締めくくりは映画ライターの村山章さん、ライターの西森路代さんと2023年の映画界を振り返る鼎談に参加させて頂きました。村山さんについてはラジオのご出演やコラムでいつも作品紹介を楽しみにしていますし(特に生涯ベスト級の『ザ・ライダー』を知ったきっかけも村山さんのご紹介でした!)、西森さんはハイロー・LDH関連の批評や、書籍「韓国ノワール その激情と成熟」も拝読していたので本当に嬉しかったです。そこに映画宣伝好きの一般人の自分が混ざって映画界の明るい話、暗い話、笑える話などをしました。

 

以上です。こうしてまとめてみると色々な作品に携わることができた1年だったな、と感じます。また、一映画ファンですが大好きな映画について語る機会も増えて嬉しかったです。改めて関係各社の皆さん、ありがとうございました。今年は大変お世話になりました。来年もよろしくお願いします。

 

そして2024年の年明け早々に映画について語るイベントをやります!

帰ってきたビニがさ新年会2024

https://vinygasa24.peatix.com/

2024年1月7日(日)の10時〜14時に渋谷の東京カルチャーカルチャーにてぬまがさワタリさんと一緒にあれやこれや語ったりします!トークはもちろん、お客さん同士で交流したりする映画ファン向けイベントとなっております。何せ4時間もあるのでギチギチに企画を詰め込むよりはゆったりと映画について話したり考えたりできたらいいな、と思っております。お時間のある方、ご興味のある方はぜひご参加下さい!よろしくお願いします。

ゴジラに"プラスワン"せよ!『ゴジラ-1.0』宣伝の世界

こんにちは、ビニールタッキーです。

ゴジラ-1.0』が11/3に公開されました。劇場で鑑賞しましたが圧倒的なVFXゴジラがとにかく怖いのがとても印象的でした。お話も朝ドラ的なんて言われていますが僕は好感が持てました。今やハリウッドでも作られるようになったゴジラ映画ですが当然日本もめちゃくちゃすごいぞ!ということが感じられて楽しかったです。

さて、ゴジラの感想をここでたっぷり書いてもいいんですが、僕の話したいことは別にあります。このブログを見てる人ならわかりますね、宣伝です。

以前旧ブログで『シン・ゴジラ』の国内宣伝をまとめる記事を書きました。シンゴジの宣伝は本当に大量かつ雑コラ…ではなく工夫を凝らした物が多くまとめるのが楽しかったのを覚えています。特にシンゴジラは特徴的な細い腕にいろいろな商品を持たされているのが健気でたまらなかったのです。

あれから7年…久しぶりに東宝ゴジラ映画が帰ってきた!ということで宣伝の方も大変なことになってるに違いありません。ゴジラ-1.0(マイナスワン)に様々な商品を"プラスワン"する宣伝たちを早速見ていきましょう!

ゴジラ プラスグルメ

【ゴジラ-1.0タイアップキャンペーン】 | 新着情報 | お好み焼 千房

やっぱりなんか持たされてるじゃねーか!!

ゴジラさんが持っているのは千房の50周年記念メニューコンテストでグランプリを受賞した梅しそまめとろ塩玉だそうです。美味しそう。

ゴジラ-1.0 映画公開記念プレゼントキャンペーン|新着情報|551HORAI 蓬莱 大阪名物の豚まん[肉まん]

ゴジラがおる時〜!言うてる場合か!

ゴジラさんも551の紙袋まで下げて新大阪でよく見かける出張帰りのサラリーマンみたいになってます。ちなみにこちらの宣伝に携わった方が打ち合わせでゴジラがおる時〜!一択やな」と決まったと発言していて感動を覚えました。

以前関西の宣伝関係の方とお話ししたことがあるのですが「関西の企業コラボはだいたいギャグと勢いで決まる」と聞きました。あの話は本当だったんだ…

【商品情報】『ゴジラ-1.0』とコラボレーションした『「ゴジラ」乃子』が新登場! | お知らせ | 福岡のお土産は和菓子の老舗 石村萬盛堂

ゴジラと福岡の銘菓「鶴乃子」とゴジラがコラボ。ゴジラ乃子」という何となくミニラを彷彿とさせる名前のお菓子となりました。

ちなみにアンケートに答えると通常の70倍の大きさのゴジラ鶴乃子が当たるキャンペーン中だそうです。当然僕は応募しました。皆さんもぜひ。

TKGのGはゴジラのG!色々持たされてるマイゴジさん、ついに卵を割ってTKGを作るまでになりました。何でもありだ!

 

「PIZZA-LA」と『ゴジラ-1.0』がコラボ!公式サイトをはじめ、XなどのSNSで豪華プレゼントキャンペーンを実施! | 電撃ホビーウェブ

ピザーラ』という名前の命名の秘密は、ピザ×ゴジラの「ラ」!「ピザ業界でゴジラのように強くて愛されるようになっていきたい!」という思いを込めて命名されています。

ほんまかいな?と思って調べたら社長本人が言っていてビビりました。知らなかった…そんなの…

 

しそ焼酎「鍛高譚」×映画「ゴジラ-1.0」コラボラベルが数量限定で発売 - 映画ナタリー

鍛高譚とコラボ!紫蘇を持ったゴジラさんとカレイが可愛い。ちゃんと鍛高譚デザインに溶け込んでいるのがいいですね。

ゴジラ VS FAMIMA CAFÉ『ゴジラ-1.0』とコラボレーションキャンペーン開催!コーヒー・カフェラテのコラボカップ全10種類が数量限定で登場!~オリジナルグッズが当たるファミマのアプリキャンペーンも実施~|ニュースリリース|ファミリーマート

ファミマのコーヒー「FAMIMA CAFÉ」とコラボ!Sサイズはゴジラマイナスワン、Mサイズの方は歴代ゴジラ(vsキングギドラ、vsビオランテなど)の絵柄と新旧織り交ぜた仕様となっています。FAMIMA CAFÉはこの前に『トップガン マーヴェリック』コラボ『ミッション:インポッシブル デッド・レコニング』コラボともコラボしていたのでコンビニコーヒーの需要の世代層がどこら辺なのかがよくわかりますね…

『ゴジラ-1.0』公開記念!最強の怪獣王・ゴジラのエナジードリンク「GODZILLA ENERGY Ⅲ ゴジラ-1.0ver」新発売!|株式会社チェリオコーポレーションのプレスリリース

エナドリとコラボ!ゴジラの吐く放射能を彷彿とさせる爽やかな青が印象的です。いいのかそれは!

 

『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』公開記念特別企画 ロケ地周遊作戦! | 特集・イベント | サービスエリア・お買物 | 高速道路・高速情報はNEXCO 中日本

ロケ地の一つである静岡県浜松市にある東名高速道路のサービスエリア「EXPASA浜名湖」がコラボ!ロケ地巡りや迫力のゴジラ唐揚げ丼、ゴジララーメンなども!こういう迫力のある飯コラボ好きです。

【楽天市場】映画ゴジラ-1.0/怪獣レモン コラボ特設ページ > 限定特典のご案内:Hirocco

何!?と思ったんですが広島産のブランドレモン「怪獣レモン」ゴジラのコラボ!まさにコラボすべき商品とのコラボだなーと思っていたんですが、

怪獣レモンの対象商品を買うとゴジラ -1.0』オリジナルデザインの紙幣風記念品が当たるというキャンペーン。なぜ?しかもオランダで本当にユーロ紙幣を造幣していた会社が手がけた記念品なので透かしやホログラムなどを含んだ高精細印刷の紙幣というガチっぷり。すごい。すごいけどなぜ?これは今回コラボ商品を調べてる中でもかなりビックリするコラボでした。

 

ゴジラ プラス建物

宣伝を見てみるとゴジラと建物のコラボは意外と多いのです。多分デカい建物とデカいゴジラが並ぶと相性がいいからでしょうね。ただ、並んでるだけならいいんですがたまに建物を破壊するというヤンチャが過ぎた案件も見受けられます。そんなゴジラプラス建物なコラボを見ていきましょう。

羽田空港で「ハネダVSゴジラ~ハネダにゴジラ襲来~」を開催 |

ウワーッ!羽田空港ゴジラに破壊される!と思いきやスタンプラリーやグッズ販売など割と平和なコラボでした。この写真はカッコよくていいですねえ。

セントラルパークにゴジラ出現‼『ゴジラストリート』開催 | セントラルパーク - Centralpark

名古屋栄にあるセントラルパークとコラボ。おや、建物コラボなのに大人しい宣材写真だな、と思いきや…

ウワーッ!壁を突き破ってマイゴジさんがこんにちはー!!なんと等身大サイズのゴジラさんが見れるようになっております。

一方さっぽろ地下街はかわいらしい感じのコラボ。「-1.0」がポイント10倍にかけて「×10」になってるのがニクイ。

『ゴジラ-1.0』公開記念 西武園ゆうえんちフォロー&リポストキャンペーン | 西武園ゆうえんち

ゴジラ・ザ・ライドがある西武園ゆうえんちも当然コラボ。こちらはだいぶ派手に破壊されてる気がします。いつか行ってみたいなー。

『ゴジラ-1.0』公開記念!ミント神戸6階リニューアルオープンとコラボした、コラボビジュアルが登場!オリジナルステッカープレゼントキャンペーンも開催! | ミント神戸

兵庫県ミント神戸にもゴジラが来襲!劇中における銀座級にかなりの危機的状況な感じがします。

と思ったらコラボステッカーを持ってにっこり。さすが商売人やで!

 

映画『ゴジラ-1.0』公開記念コラボキャンペーン | 日比谷シャンテ

東宝グループのお膝元の日比谷にマイゴジさん襲来。自分の聖地巡礼か、もしくは銀座を破壊してたついでに寄ってくれたんでしょうか。

大ヒット公開中!『ゴジラ-1.0』公開記念キャンペーン | リバーウォーク北九州

こちらリバーウォーク北九州とのコラボビジュアル。これは建物が見えないぐらいだいぶ派手に破壊されています。

「ゴジラ-1.0」公開記念!ゴジラ×関西学院大学がコラボ、3種のビジュアル解禁 - 映画ナタリー

何と関西学院大学とコラボ!ゴジラと大学のコラボは初だそうです。でしょうね、そんなの聞いたことないですもん。

大学祭もコラボビジュアルあり。めちゃくちゃ気合い入ってます。

 

ここからはさらに細かくジャンル分けしたゴジラさんコラボ案件をどんどん紹介していきますよ!本当に色々あるからね!

ゴジラ プラスボートレース

ボートレース浜名湖+1.0

先述した通り『ゴジラ -1.0』のロケ地の一つが浜名湖です。そこにあるボートレース浜名湖ゴジライベントが開催。このビジュアルめちゃくちゃカッコよくて好きです。マジで危ない。

ボートレース芦屋 vs ゴジラ-1.0 | 特設サイト

こちらはボートレース芦屋とのコラボビジュアル。こっちもすげーーー!!

ゴジラ プラス睡眠

寝心地、ゴジラ級|コアラマットレス®

寝心地ゴジラ級ってどういうこと?と思ったらこちらの振動吸収性の高いコアラマットレスならゴジラが来てもぐっすり眠れるかも?」ということだそうです。

歩くだけで粉塵を巻き起こしていたゴジラさんですがコアラマットレスならワイングラスも倒れないほどの衝撃吸収!(※これはCM上の演出です)

コラボCMもあります。大暴れするゴジラと寝心地抜群マットレスという異色コラボにちょっと感動してしまいました。

コアラマットレスさんはデザインタクシーでオリジナルタオルを配ったりタイアップ広告のSNS投稿キャンペーンをやったりとかなり大々的なキャンペーンを展開していました。特に電車の車両を丸々広告でジャックするというキャンペーンもあったのですが、あえて劇中の舞台と時代を彷彿とさせる銀座線のレトロライナーを選ぶという”わかってる”広告展開に唸りました。宣伝ウォッチャーとしてこういう技アリな宣伝を見ると嬉しい気持ちになります。

ゴジラ プラステプラ

 

貼りまくれ!ゴジラとテプラがコラボ、歴代ロゴ・ゴジラフォントのラベル作り放題 - 映画ナタリー

か、かっこいい!今のテプラってこういうこともできるのかー!という驚きもありました。これって製品コラボとして正しいな!

ゴジラ プラスサイズ

洋服のサカゼンが『ゴジラ-1.0』とコラボ!プレゼントキャンペーンにグッズ販売なども | ガジェット通信 GetNews

大きいゴジラと大きいサカゼンのコラボ。「規格外の者達へ…」というコピーもいい。コラボビジュアルだけではなく石ちゃんとのコラボステッカーやLINEスタンプなども作成。

さらにはオリジナルモデルのスカジャンまで!すげえな!THE BIG IS GREAT!!!

ゴジラ プラスメガネ

ゴジラ-1.0 ✕ やわらかるいメガネPOCOP(ポコプ) | メガネの愛眼 - めがね・サングラス・コンタクトレンズ・補聴器等をご提供する眼鏡専門店

メガネの愛眼のやわらかメガネPOCOPとコラボ。ゴジラに踏まれても大丈夫!(※イメージです)劇中の野田(吉岡秀隆)もこれをかければ安心でしたね。

ゴジラ プラスゴルフ

『ゴジラ-1.0』|ゴールデンプリックスTR-01 コラボ展開決定! – つるやゴルフ

おっ!久しぶりに商品を持たされてるやつ!しかしこの勢いでゴルフクラブを持っていると喧嘩直前みたいに見えるんですが大丈夫なんでしょうか。マイゴジさん、正しい使い方をお願いしますよ。

ゴジラ プラスじゆうちょう

ゴジラ-1.0|国分ハウジング

こちらは鹿児島県内に展開する国分ハウジングさんで来場予約するともらえるプレゼントとのこと。こんなの小学生歓喜ですやん。マジで欲しい。

ゴジラ プラス献血

【『ゴジラ-1.0』| 福岡県赤十字血液センター タイアップキャンペーン!】|新着ニュース・プレスリリース・イベント|福岡県赤十字血液センター|日本赤十字社

今回の『ゴジラ -1.0』コラボの中でこれが個人的に一番好きですね。献血ゴジラを組み合わせるという発想に脱帽です。「あなたの+1.0が、日本を救う」というキャッチフレーズも良いですねえ。ゴジラがマイナスなら献血はプラス!その通り!

ゴジラ プラス銭湯

『ゴジラ-1.0』と公衆浴場(銭湯)のコラボが決定! コラボ | News | 映画『ゴジラ-1.0』公式サイト

出ました銭湯コラボ!銭湯コラボをこよなく愛する私ですが今回は一店舗だけとかではなく全国各地の銭湯で展開とのことで嬉しい限りです。もっと広がれ銭湯コラボの輪!あとこの「ゆ」を「G」に寄せるデザインにも感動しました。素晴らしい。

オリジナルグッズも充実。手拭いを首にかけたりしてゴジラさん、銭湯をエンジョイしてますね。というか手拭い+風呂桶+風呂って発想がシン・ゴジラ』の時↓と同じじゃねーか!こういうの好きだからいいけど!もはや恒例にする気か!?

ゴジラと温泉といえばこちらもありました。

ゴジラ級のユネッサンへ。 | 箱根小涌園 ユネッサン

箱根小涌園は大々的にコラボ。でかい立像の他に真っ黒なゴジラ風呂もあります。

他にもゴジラのテーマソングと足音と咆哮が洞窟内に鳴り響く ゴジラ襲来の洞窟 」ゴジラの咆哮(熱波)でゴジラ級の“トトノイ”が出来る体験型サウナイベントゴジラの咆哮ロウリュ」などがあるそうです。ユネッサン、本気度が高すぎる。しかしゴジラ級の“トトノイ”って何?

 

以上です。

今回の『ゴジラ -1.0』もはちゃめちゃな広告ばかりで最高でしたね。最初に挙げた『シン・ゴジラ』の宣伝を集めたブログ記事の結びに「次回も何か商品を持てるような腕にしておいてください」と注文を付けましたがそんなものは不要でしたね。肉まんを持ったり卵を割ったりお風呂に入ったりゴジラさんは何でもできます。何でもやれます。恐れ入谷の鬼子母神です。なんだかんだゴジラというのは一つの御神体みたいなもので、新作が公開されるということは一種のお祭りみたいなものなんだなと感じました。また次回も大盛り上がりすることを期待してます!

映画『バービー』で振り返る『サタデー・ナイト・ライブ』

こんにちは、ビニールタッキーです。

映画『バービー』を鑑賞しました。『レディ・バード』『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』のグレタ・ガーウィグ監督と、『アイ、トーニャ』『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』『プロミシング・ヤング・ウーマン』の製作を手掛けたラッキーチャップ・エンターテイメントを率いるマーゴット・ロビーのタッグ作ということではちゃめちゃに楽しみにしていた映画でしたが、明るくポップに、時に痛烈に女性と男性の生きづらさとそれでも前進するための何かを描く映画でした。

しかし『バービー』を見てる間、自分の脳にはあることが常に思い浮かんでいました。「これ『サタデー・ナイト・ライブ』のコントみたいだな」と。

サタデー・ナイト・ライブ』(略称:SNL)についてはこのブログで何度も言及しているので詳細はそちらをご覧ください。

映画『バービー』は製造元のマテル社の名前をバッチリ出しつつバービー人形が背負っている正と負の面をジョークを交えながら語る作品でしたが、この「公式の名前を出しつつ社会的な皮肉を交えて痛烈にジョーク化する」感じがSNLのコントっぽい!と感じたのです。

さらに『バービー』は人形の世界の中でキャラクターたちが平然と日常を過ごしている感じもコントっぽいと感じました。SNLのコント、というかアメリカのコメディでよく見るdeadpan(無表情ギャグ。どれだけおかしな状況でも真顔でいることで笑いを生むコメディの形態)みたいな感じの映画でしたね。

調べてみるとSNLではバービーのスケッチというのは何度も作られています。特にレギュラー陣でもトップの人気だったエイミー・ポーラーがバービー役を演じ、そこにホストの女性が絡んでくることでソープオペラのようなドロドロの愛憎劇になるというスケッチがありました。

 

こちらは2005年のスケッチ「Inside Barbie's Dreamhouse」。バービー役はエイミー・ポーラー、ケン役は同じくレギュラーコメディアンのウィル・フォーテ。ケンが連れ込んでいた浮気相手のバービーがパリス・ヒルトンという布陣。映画『バービー』ではバービーの足が常にハイヒールを履くように爪先立ちになっていましたが、こちらは関節も手もまっすぐ、さらに腕が取れたりするなどバービー人形の再現度では映画に負けていません!(?)

 

こちらはブリトニー・スピアーズが子守りが大好きな妹スキッパーを演じたスケッチ。実は妹だと思っていたスキッパーがバービーの娘だった…というややこしいドラマが展開されます。こうして見るとまさにバービーっぽいイメージの人がバービーのスケッチをオファーされていたという歴史が垣間見えますね。

こちらは時代がグッと近くなって2018年のスケッチ「Barbie Instagram」。マテル社が発足したバービーのインスタグラムにどのようなキャプションを付けるかという会議の模様です。画像で一言…というにはあまりにも頓珍漢なキャプション例に笑ってしまいます。特に異次元の解釈をするドナルド・グローヴァーが怖い。改めて見てみるとマテル社の男性が「バービーはそんなんじゃない!」みたいに話しているのが映画『バービー』における重役は男性だらけという風刺描写と似通ってる感じがします。

 

ちなみに「Ken Instagram」というスケッチもあります。こちらはレイチェル・ブロズナハンの独自解釈がヤバいコントです。

 

『バービー』がSNLっぽいと感じたことのもう一つの大きな要因が、「出演者の多くがSNLに出たことがある」ということです。彼ら/彼女らのコメディ演技を見ると「そういえばSNLでも面白い演技してたもんなー」と思い返すような感じでした。

もちろん主演のマーゴット・ロビーもホストを務めたことがあります。彼女のホスト回で好きなスケッチはこちらの「Live Report」。道路の陥没事故現場でインタビューを受ける男女。マーゴット演じる美女と隣にいる冴えない男が夫婦だとわかりアナウンサーやニュースアンカーが騒然とするコントです。まさにマーゴット・ロビーというアイコンをうまく利用したネタですね。こんな見た目だけどいいところがあるのだろう…と思っていたアナウンサーが彼の足元を見てクロックスを履いている(しかも靴下を履いた上で)というファッションにショックを受けるというギャグは笑いました。

マーゴット・ロビーのスケッチで衝撃的だったのはこちら「The Librarian」。映画でバービーが「私は醜い!」みたいなことを言っても「マーゴット・ロビーが言っても説得力がない」みたいな扱いを受けていましたがコントではこれぐらいやってんねんで!

 

映画『バービー』で忘れらないのがライアン・ゴズリングが演じたケンでした。グレタ・ガーウィグ監督が彼をケン役に選んだきっかけはSNLだったという証言があります。

ライアン・ゴズリングSNLにて2回ホストを務めているのですが、その両方とも監督のお気に入りで、特にこの↓スケッチ「Guy Who Just Bought a Boat」が大好きで、面識も何もないのに当て書きで脚本を書き始めたというほどです。グレタ監督はこれを見てゴズリンの中にKenergy(ケンのエナジーを感じたそうです。

番組内のニュース番組風コーナー「Weekend Update」の準レギュラーキャラである「Guy Who Just Bought a Boat」(船を買ったばかりの男。演じるのはレギュラーコメディアンのアレックス・モファット)は、金持ち風のチャラい男がニュースの話題について直球の下ネタを交えながら語るというしょうもないキャラクターなんですが、彼の従兄弟という設定の「Guy Who Just Joined Soho House」(ソーホーの家に入ったばかりの男)を演じたのがライアン・ゴズリングでした。この頭のネジが数千本抜けてるような男の演技にグレタ監督がケンっぽさを見出したということなんですかね…?

ライアン・ゴズリングがホストの回のコントはどれも傑作で、特に有名なのはケイト・マッキノンと奇跡のケミストリーが起きた「Close Encounter」ですね。

国防総省に招かれた3人の民間人が宇宙人との接近遭遇について語るというスケッチなんですが、とにかくはちゃめちゃな体験談を語るケイト・マッキノンの面白さに耐え切れずライアン・ゴズリングが笑いを噛み殺しているのが最高です。SNLではたまにこういうBreaking Character(コント中に吹き出してしまうこと)が起きて神回と評されることが多いのですがゴズリンはとにかく「ゲラ」らしくてBreaking Characterしまくりでした。

 

もう一人のケンを演じたシム・リウのコメディ演技の素晴らしさは今更言うまでもありませんね。元々シットコム出身な上に身体も動くということで総合的な面白さがありました。彼がSNLでホストを務めた回だとやはりアジア系のレギュラーコメディアンのボウエン・ヤンと「アジア系として初の◯◯」という称号の量で競い合うというメタ的なスケッチ「Simu & Bowen」が皮肉たっぷりで好きです。このコントでもdeadpanという単語が出てきますね。

 

大統領バービーを演じたイッサ・レイもSNLでホスト経験者です。この人は見た目はカッコいいのに明け透けなギャグをかますので最高ですね。思い返すと『バービー』劇中でバッチリF-wordを使っていたのはイッサ・レイでしたね。彼女がホストを務めた回で個人的なお気に入りのスケッチ「First Date Exes」を貼っておきますね。彼氏と初めてのデートで食事をしているとそこに次から次へと奇妙な元彼たちが現れる…というコントです。

 

人魚ケン役でカメオ出演していたジョン・シナもホスト経験者。2016年なのでちょうど俳優業が本格化する頃ということで今の演技メソッドとは違うシナが見れます。

 

人魚バービー役のデュア・リパもSNLカメオ出演したことがあります。元々クリステン・ウィグがホストの回に音楽ゲストとして出演していたんですが、この「U.S.O. Performance」でカメオ出演しています。このコントはそれまで地味だったボウエン・ヤンが本来の持ち味を開花させたコントで個人的に大好きな逸品です。

 

バービーとSNLの話になるとケイト・マッキノンの話をしなければなりません。SNLで10年間レギュラーを務めたベテランです。変てこバービー役としてSNLのコントとほぼ同じテンションで出てきた時には笑うと同時に泣きそうになりました。(ケイト・マッキノンは2022年に番組を卒業してしまったので)今回の映画出演で知ったのですがケイトとグレタ監督は同じ大学の演劇部出身で旧知の仲だったということだそうです。(↓のリンク参照)ケイト・マッキノンは大好きなのでどのコントを貼ろうか相当悩んだんですが、やはりフロリダのDon't Say Gay法案についてコントキャラクターではなくケイト本人として登場して話芸を披露した動画を貼っておきますね。

 

同じくバービーとSNLの話をするならウィル・フェレルも重要です。SNLで7年間レギュラーを務め、特に当たり役だったジョージ・W・ブッシュ大統領のモノマネからも分かる通り、不遜で偉そうで子どもみたいな中年男性を演じさせたら天下一品です。出演したスケッチは山ほどあるのでここにはSNLが公式で作成した「Best of Will Ferrell on SNL」を貼っておきます。

そして…これは本当に些細なことなんですが、『バービー』で現実世界の学校に行ったケンが何度も話しかける女性、ローレン・ホルトという人が演じているんですがこの人SNLのシーズン46に1年だけ出て去ってしまったコメディアンだったんですよ。SNLでは1シーズンでレギュラーから外されるということはよくあることらしいんですが、元気な姿を見れて安心しました。日本でこんなことを感じているのは自分を含めほんの少しかもしれません。でも嬉しかった…

 

ちなみにグレタ・ガーウィグ監督も実はSNLにちょっとだけ出たことがあります。ちょうど『レディ・バード』が話題になった2017年にシアーシャ・ローナンがホストを務めた回で披露された「The Race」。80年代オフィスドラマ風のスケッチで、書類を取りに行く速さを競う男たちのドラマ、というしょうもないコントなんですが上司役でグレタ監督がカメオ出演しています。さすがシアーシャ先輩とグレタ監督の絆は深い。

 

というわけで映画『バービー』からSNLを振り返ってみました。こうして見ると映画『バービー』とSNLはかなり関係が深いように感じるのは僕だけでしょうか。単純に「オールスターキャスト映画だから大人気番組のSNLの出演者と多く被ってように見えるだけ」と言えるかもしれません。しかし風刺と笑いと社会的メッセージを織り交ぜた物語の構造、ケン役抜擢のエピソード、重要な役にSNLのコメディアンを配するなど、やはり『バービー』の根本の一つにSNLがあったように思えてならないのです。

ここで大変惜しまれるのはもしSNLが稼働中だったら絶対『バービー』のコントが作られただろうに…ということ。現在SNLはシーズンの途中で米国脚本家組合(WGA)がストライキに入ったためずっと放送休止状態になっています。

日本もそうですがコント番組というのは一流の脚本家たちが書き上げた脚本を元にコメディアンがコントに仕立て上げるものです。特にSNLは脚本家にもスポットライトを当てる番組で、脚本家たちもコントに登場したり、脚本家が亡くなると追悼映像を流したりするほどです。実際多くのコメディアンたちもストライキに賛同しています。つまり「面白いコントに面白い脚本家あり」ということなのです。そんな彼らが正当な待遇を受けてほしいと願うばかりです。本当にお願いしますよ…俺はSNLでボウエン・ヤンがケン役で踊りまくるコントが見たかったんや!!

そんな感じで社会風刺とコメディを織り交ぜた『バービー』面白いのでみんな見ましょう!そしてその根本にある『サタデー・ナイト・ライブ』も見てね!Huluだったら日本語字幕付きで見れるよ!