第9惑星ビニル

見た映画の感想を書き綴ります。

2018年映画ベストテン

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こんにちは、ビニールタッキーです。

2018年に僕が劇場で見た新作映画は40本ほどでした。旧作も40本程見たので新旧半々ぐらいでしたね。年に100本以上鑑賞する映画ファンのみなさんには遠く及びませんが、僕が2018年に印象に残った映画をベストテンとして挙げてみます。

 

10.オーシャンズ8

とにかく楽しい映画でした。犯罪計画を鮮やかに実行する映画は数あれど、そのメンバーが全員女性というのがまず最高じゃないですか。特にメンバー8人のキャラクターが見事にバラッバラなのが良かったですね。さらに犯罪計画に参加する理由もバラバラなのに妙にみんな気が合って一致団結するのがとても見ていて楽しかった!なんというか、共通の趣味のオフ会で集まってみたらみんな見た目がバラッバラだけど話が異様に盛り上がるあの感じを思い出してグッときました。基本的にはお気楽で肩の力が抜けた娯楽映画なのですがデビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)が鏡の前でつぶやく「この仕事は私自身やみんなのためにやるんじゃない。世界のどこかで犯罪に憧れる8歳の女の子のためにやるんだ」というセリフが忘れられません。ちなみに余談ですがこの映画を見た後どうしても我慢できなくてスカジャンを買ってしまいました。

 

9.ヘレディタリー/継承

僕は本当にホラー映画が苦手なのですが勇気を出して見に行って大正解でした。あんなにビビッてたのに鑑賞後は「すげーー!」という驚きと「やったーー!」という高揚感でいっぱいでした。この映画、見てる間も話がどの方向に行くのか全く予測できないのですが最終的に到達したラストが個人的にメチャクチャ好みの話で大団円感すら感じてしまいました。あと公開当時は色々な人に怒られると思ったので書かなかったのですが『ヘレディタリー/継承』は『バーフバリ』みたいな映画だな、と思いました。だって世代を超えて「継承」された「願いは叶う」、というお話じゃないですか。ほら、「王を称えよ!」だし!ラストシーンは『バーフバリ』の滝の水を浴びるシヴァ像みたいな感じでしたよ!…これ以上は怒られるのでやめます。

以前僕が書いた感想はこちらです。

 

8.ブラックパンサー

とにかくかっこいい映画でしたね。アフリカ文化圏に西欧文化圏の流入がないまま高度に成長したら…という想定のもと作られた建築物やガジェットのデザインが素晴らしい。そして忘れられないヴィラン、エリック・キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)!王家の血を引きながらストリートで育ち、やがて故郷に戻り新たな王と対峙する…本来であれば貴種流離譚の主人公のようなキャラクターなのに悲しい過去を持つヴィランという…ああなんて切ないんだ!というかライアン・クーグラー監督いくらMBJのこと好きだとは言え設定盛りすぎでしょ!ありがとうございます!他にも特に強化人間でもないのに異様に強い戦士オコエさんや気は優しくて力持ちの「偉大なるゴリラ」エムバクなどなど忘れられないキャラクターたちも最高です。

 

7.ブリグズビー・ベア

サタデー・ナイト・ライブ」のエキセントリックなコントの中でいつも一歩引いた笑いを生み出すカイル・ムーニーがコント仲間と一緒に主演映画を作ると聞いて見に行ったのですが、本当に優しい優しい素晴らしい映画でした。なぜ人は物語を必要とするのか、物語を作り続けるのか、という物語論をちょっと極端とも言える設定で突き詰めつつ普遍的に語るストーリーが本当に素晴らしいと思いました。これぞ作り手賛歌ですね。「登場人物がみんな主人公に対して優しすぎる」という意見があるみたいですがこんな想像を絶する残酷な体験をした人に優しくするのは当たり前だと思います。少なくとも僕は彼と肩を抱いて笑いあう側の人間でありたいです。あとこれはお願いですが「ブリグズビー・ベア」本編をもっと見させて!


6.カメラを止めるな!

最高に笑いました。劇場全体で爆笑した体験が忘れられません。まだまだネタバレ禁止だと思いますので深くは語りませんが、やっぱりみんなで必死に何かをやり遂げるのは本当に大変だけど本当に面白いよね!と感じました。よく『ブリグズビー・ベア』とセットで語られることが多いのもよく分かります。終始笑える映画なので油断していたらラストでギュッと心を掴まれてボロッボロに泣いてしまいました。子を持つお父さんは絶対に見た方がいいですよ。


5.スカイライン 奪還

この順位に入れたのははっきりいって個人的なゴリ押しです。こんなに作り手のやりたいことと観客が喜びそうなことをサービス精神全開で詰め込んだ映画に感謝を伝えたい。エイリアン!巨大UFO!人体破壊!怪獣バトル!ベトコン!インドネシア最強の格闘技シラット!とこの世で考えうる限り最高な要素しかありません。個人的には『キングコング 髑髏島の巨神』を見た時も同じような感謝の気持ちを感じました。あともうDVDも発売されたので言いますがとにかくNGシーンが最高です。エンドロールでNGシーンが流れる映画は全ていい。そしてこの映画は本編が終わってからNGシーンが流れるタイミングが異様に早い。この書き割り感すらも魅力的な映画です。続編はいったいどうなるのか!!

以前僕が書いた感想はこちらです。


4.ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル

超大作おバカ映画の皮をかぶった最新型の『ブレックファスト・クラブ』。僕は『ブレックファスト・クラブ』形式の映画にとても弱いのですが(最近だと『スパイダーマン ホームカミング』『パワーレンジャー』)こちらはその手の映画の最新型の傑作と言っていいと思います。「他人の立場になって考えてみる」という人生において大切なことを「自分とは全然違う人格のアバターを強制的に割り当てられる」というゲーム要素を通じて表現するという試みが実に鮮やかです。どう見ても気弱なオタク少年が中に入ってるようにしか見えないロック様とギャルが中に入ってるようにしか見えないジャック・ブラックの演技も見事でした。基本的には彼らがジャングルを脱出するためにドタバタする話なのですが時折挟まれるさりげないセリフやふとした心理描写にきちんとした信念のある大人が作った映画であることを感じます。筋肉アクション俳優はキャリアを重ねるとメッセージ性の強い映画に出るようになるという伝統がありますがロック様ことドウェイン・ジョンソンもまさにその道を歩んでいると思います。「雑な映画なんでしょ~?」と思っている人ほど観てほしい映画です。


3.デッドプール2

「最高に笑えて、最高に泣ける映画」と書くととても陳腐に見えてしまいますが本当にそういう映画なので仕方ありません。僕が今年劇場で最も泣いた映画です。実は2回見たのですが「2回目はそんなに泣かないだろう」と思って行ったら展開を知ってるので泣きポイントが増えただけでした。「荒くれどものなけなしの良心による自己犠牲」ってイイですよね…。はっきり言ってギャグは下品だし内容と一ミリも関係ないメタネタばかりですが「大人は何が何でも絶対に子どもを守らなければならない」という芯がズドンと通っているのでとても真摯に作られていると感じました。そして『X-MEN』シリーズといえば人種差別が大きなテーマですが、真正面から差別に対してNOを突きつけるこの映画こそ正統な『X-MEN』映画だと思いました。「デッドプール無責任ヒーローと言いながら優等生すぎる」という意見もあるようですがフィクションの中で無責任ヒーローが優等生にならざるをえないぐらい現実に起きてることの方がやばいという痛烈なメッセージだと僕は考えています。


2.パディントン2

「多様性って楽しいよね!」ということを明るく楽しく、そして時折真面目に語る映画です。「移民が誤解や謀略によって刑務所に入れられてしまう」というストーリーラインは冷静に考えると相当悲惨な話ですが主人公が赤い帽子をかぶった小熊なので楽しく見れるのだと思います。逆に言うとそういうおとぎ話的な見た目だからこそ真っ直ぐなメッセージを描けるのだと感じました。あとオープニングで主要登場人物に突如付加された設定がラストに伏線として全部回収されるのは斬新な手法だと思いました。「それは伏線回収とは言わないだろ!」と吹き出してしまいそうになるんですが同時にビンビンに泣いてしまうというすごい映画でした。ちなみに個人的2018年ベストエンドロールはこの『パディントン2』です。登場人物全員が幸せに包まれる素晴らしいエンディングでした。

 

1.シェイプ・オブ・ウォーター

とにかく素晴らしい映画でした。障害者、同性愛者、黒人女性というこの映画の舞台である1960年代には「いないことになっている」人たちが協力して魚人を助ける姿には涙があふれてしまいます。一方で「本当に恐ろしいのは怪獣よりも人間」という言い回しをまさに体現するストリックランド(マイケル・シャノン)も最高でした。恐ろしい悪役ですが彼もまた世間の提示する「男性性」に拘束されている悲しき人間として描いている点にギレルモ・デル・トロ監督の優しさを感じました。魚人が幽閉される機械的で冷たい実験施設、イライザ(サリー・ホーキンス)の住む部屋、雨漏りする映画館など印象に残る舞台もいっぱいありました。どれもおとぎ話の世界とは程遠い舞台ですが、緻密に計算された色彩デザインと特殊撮影でおとぎ話のように美しい物語を語る手法が本当に見事です。いつまでも色褪せない映画だと思いました。

 

以上です。

こうやってベストテンを挙げてみると自己分析ができていいですね。自分の場合、色んな立場の人たちがわちゃわちゃする映画が好きなのかもしれません。

ここに挙げた以外にもいい映画がいっぱいありました。『インフィニティ・ウォー』はすごかったし『ヴェノム』や『ザ・プレデター』は忘れられないBL映画だったし『ボヘミアン・ラプソディ』はアゲアゲだったし『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』も最高に痺れた!こないだ見た『シュガー・ラッシュ:オンライン』もしみじみよかった…と言い出したらキリがありません!いやー映画って本当にいいものですね。

2019年もいっぱい映画見るぞ~!