第9惑星ビニル

見た映画の感想を書き綴ります。

この映画宣伝がすごい!2018(前編)

こんにちは、ビニールタッキーです。

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ジャスティス!(正義の味方!)

今年もやってきました「この映画宣伝がすごい!2018」!

そもそも「この映画宣伝がすごい」とは…まずはこれまでの記事をご覧ください。

aquablue-inferno.blogspot.com

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planetvinyl.hatenablog.com

 

海外の映画が日本国内で公開される際に行われる「お笑い芸人によるPRイベント」「旬のタレントをゲストに迎えてのPRイベント」「トンチキな出演俳優来日イベント」「不思議な企業コラボ」「タレント吹き替え」「日本版オリジナル主題歌」等の宣伝群を「おもしろ映画宣伝」と勝手に名付けて勝手に褒めたり表彰したりする催しです。

 

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※おもしろ映画宣伝の例

 

2015年から毎年開催してきたこのイベントですが今年は少し毛色が違います。

というのも実は2019年2月9日に下北沢の書店兼イベント会場の本屋B&Bにて映画宣伝について語るトークイベントを行ったんです!ネットの片隅で壁に向かって一人ブツブツつぶやいていた催し事がついにリアルイベントになったんですよ!

bookandbeer.com

同じくゲストのアメコミライターで映画宣伝にも詳しい杉山すぴ豊さんと一緒に熱く語るというスケールのでかいイベントとなりました。当日はありがたいことに満員御礼の大盛況でした!イベントの様子はねとらぼさんにも記事にして頂きました。皆さん本当にありがとうございました!

nlab.itmedia.co.jp

どうしてこうなったか…という経緯については一旦置いておいて(余裕があったらレポートを書くかもしれません)イベントは2018年のおもしろ映画宣伝をベストテン形式で発表するというものでした。

今回はイベントで発表したベストテンに、イベント内ではご紹介しきれなかった様々な案件もプラスして発表させていただきます。それでは行ってみよう!

まず2018年の映画宣伝には以下のような傾向があると感じましたのでご紹介します。

コラボポスターが多い

コラボポスターはおもしろ映画宣伝の基本ですが今年は特にご当地コラボポスターが印象に残りました。

 

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映画「ダークタワー」と通天閣がコラボ 大阪限定ポスターで - あべの経済新聞

おそらくイドリス・エルバマシュー・マコノヒー通天閣とコラボしているとは知らないと思います。

 

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ご当地名物とマット・デイモンを比較!「ダウンサイズ」ご当地ポスター公開 : 映画ニュース - 映画.com

だいたいが「小さくなるといっぱい食べれる」という発想なのが好印象です。マッド・デイモンも木彫りの熊と並んでいるとは思っていないかもしれません。

 

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レジェンド葛西、ガリチュウ福島、ドアラも「飛びまぁぁす」! 「スカイスクレイパー」ご当地ポスター : 映画ニュース - 映画.com

ドアラさんやくいだおれ太郎はいいとしてスキージャンプの葛西選手が混じってるのがアツいです。

ご当地ポスターの北海道版には、日本を代表する”ジャンプの名手”であるスキージャンプ競技のレジェンド・葛西紀明選手が参戦。美しい飛行姿勢で燃え盛るザ・パールへと乗り込み、「いつもは高層ビルの高さに匹敵するフライングヒルのジャンプ台を飛んでいますが、その高さをスキー無しで飛ぶイメージをしながら撮影に臨みました。さすがの僕もこの高さはイメージするだけで怖いですね。スタッフの皆さんと一所懸命撮影しました!」と撮影を振り返った。

この男、ノリノリである

 

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「TAXi」最新作が「レッツ&ゴー!!」とコラボ!原作者描き下ろしイラスト公開 : 映画ニュース - 映画.com

『TAXi ダイヤモンド・ミッション』と「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」がまさかのコラボ!その層カブるの!?という疑問が湧きますがこしたてつひろ先生自身がTAXiシリーズファンらしいのでいいと思います!

 

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“盗塁王”屋鋪要、「ソウ」監督最新作「ウィンチェスターハウス」に主演!? : 映画ニュース - 映画.com

こちらはホラー映画『ウィンチェスターハウス』と横浜大洋ホエールズ屋鋪要選手のエイプリルフールコラボポスターです。僕はスポーツに疎いため最初はこのコラボを全く理解できなかったのですが後に「屋敷(屋鋪)つながりでは?」という指摘を受けてようやく分かりました。言われれば分かるけど難しいよ!

 

印象的な日本版イメージソング

映画ファンの間では何かと話題になる「日本版イメージソング」も例年通り何件かありました。

 

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B'z新曲が映画「ジオストーム」吹替版主題歌に、監督は「出会うべくして出会った楽曲」(コメントあり) - 音楽ナタリー

ディザスタームービー『ジオストーム』×B'z。監督が絶賛してる感じもいいですね。僕も実際にこの曲が流れる吹替版で鑑賞しましたが、このド派手な楽曲とド派手な自然災害を描く映画の雰囲気がベストマッチングでナイスだと思いました。

 

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E-girls「トゥームレイダー」の日本版主題歌に決定!新曲「DYNAMITE GIRL」書き下ろし : 映画ニュース - 映画.com

トゥームレイダー ファースト・ミッション』×E-girls。大変申し訳ないのですが僕はこのまとめを作るまでこのコラボを忘れかけていました。皆さんはトゥームレイダーE-girlsがコラボしたという歴史的事実を覚えていましたか?いつまでも忘れずにいたいですね。

 

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オンリー・ザ・ブレイブ』×EXILE。この予告編は本当に見てほしいです。ジョシュ・ブローリン主演の骨太な映画の予告編にEXILEが流れると途端に邦画の感動巨編みたいに見えるというマジックを体感できます。僕はEXILEファンですが初めてこれを見たときは少々驚きました。

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リンク先のコメント映像でのTAKAHIROさんの「熱い!とにかく熱い!」というコメントが実際に『オンリー・ザ・ブレイブ』を見た人間のトラウマを呼び起こします。やめて!!!

 

特別映像という宣伝ジャンル

映画本編の映像だけではなく完全に日本オリジナルで撮り下した「特別映像」で宣伝するという手法も増加傾向にある感じがします。皆さんはどう思われるかわかりませんが個人的にはうれしい傾向です。

 

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藤岡弘、隊長がワカンダ王国の謎に迫る! 「ブラックパンサー」PR動画が一定の年齢層の心を鷲掴み - ねとらぼ

ブラックパンサー』×藤岡弘、探検隊という、両方とも大好きな自分にとってはカツカレーのような最高の特別映像です。どんな仕事でも常に本気でこなす藤岡弘、氏へのリスペクトが止みません。ワカンダ、ワカランダ!

 

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「アベンジャーズ」8ビットのRPG風映像公開、アンソニー・ルッソも驚愕(コメントあり) - 映画ナタリー

「映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』8ビットゲーム風日本オリジナル映像」というタイトルのビデオですが…正確に言うとこれは8ビットじゃねえ!と心の中の8ビット警察が暴れるのを抑えながら鑑賞しました。すいません、昭和生まれなので。でもルッソ兄弟が喜んでくれたみたいなので安心しました。

 

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神谷浩史がナレーション!「ミッション:インポッシブル」ゆるかわアニメ公開 : 映画ニュース - 映画.com

声優:神谷浩史のナレーションで『ミッション:インポッシブル』シリーズの概要をゆるかわアニメで説明する特別映像です。ゆるかわと言いつつ意外と再限度が高くて驚きます。しかし『ミッション:インポッシブル フォールアウト』を見た方ならわかると思いますが本編はこれの7兆倍ぐらい緊迫感と恐怖感のある映画でした。

 

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「オーシャンズ8」×「ルパン三世」がコラボ!栗田貫一ナレーション付き特別映像公開 : 映画ニュース - 映画.com

ルパン三世とコラボ!と言いつつ実質クリカンが『オーシャンズ8』のあらすじについて丁寧に教えてくれるビデオです。女窃盗団ならキャッツ・アイとコラボすべきだったのでは…と思いますがそもそも新作アニメがないので仕方ありません。

 

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ブルース・ウィリスが関西弁を話しているように聞こえる不思議…『デス・ウィッシュ』関西弁字幕の予告編! - シネマトゥデイ

これは特別映像というより特別予告編という感じですが…なぜこのような特別映像が作られたのかどなたかご存知でしたら教えてください。

 

サンシャイン池崎が“インクレディブルな”ダンスを披露!『インクレディブル・ファミリー』特別映像公開! | 映画がもっと面白くなる映画情報サイト「ムビッチ」

冒頭の写真でも登場しましたが『インクレディブル・ファミリー』に吹き替えとして参加しているサンシャイン池崎さんのオリジナルダンス「インクレ・ヒーロー・ダンス」のビデオです。こういう使われ方をするということは池崎さんは子どもにめっちゃ人気あるんだな、という学びがありました。おもしろ映画宣伝を追いかけていると映画の情報よりもお笑い芸人さんに詳しくなるという副作用がよく発生します。

 

村上佳菜子さんが大活躍

2018年の映画宣伝といえば元フィギュアスケート選手の村上佳菜子さんが大活躍したということは皆さんご存知かと思います。ご存知ですよね?私が知る限り以下の映画宣伝にゲストとして招待されています。

 

あなたの旅立ち、綴ります

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ダウンサイズ

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追想

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くるみ割り人形と秘密の王国』

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実はこれ以外にも登壇しているのですがそちらについては後述します。それにしても多い!数年前の篠原信一選手や吉田沙保里選手を彷彿とさせる出演数です。(伝わりにくい)

先述したトークイベントで知ったのですがPRイベントの広告塔がスポーツ選手になると大手新聞社や芸能誌以外にスポーツメディアも取材に来るため露出が広がるという効果があるそうです。なるほど、そう考えると篠原選手や吉田選手がよく映画宣伝に呼ばれていたのも納得です。

村上佳菜子さんは実際に記事を読んでみるとどのイベントでも常に爽やかで良いイメージです。写真も華やかでさすがはフィギュアスケート選手という感じです。個人的に村上佳菜子さんは映画宣伝の新たなクイーンという感じなのですがそんな風に思っているのは僕と広告業界の人だけかもしれません。


しまった!2018年の傾向の話だけで長くなりすぎた!というわけで前編はここまで!


今年も例年通り前・中・後編の三部作でお送りします。次回は「この映画宣伝がすごい!2018」ベストテンの第10位から第5位までの発表です!すでにレポート記事でランキングは紹介済みですがさらに深く掘り下げますよ!

 

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柳沢慎吾がエルバ&マコノヒーになりきり?「ダークタワー」モノマネ披露 : 映画ニュース - 映画.com


ウゥー!中編に続くぜ!あばよ!

 

映画感想『クリード 炎の宿敵』そして父になる

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原題:Creed II
製作年:2018年
製作国:アメリ
監督:スティーブン・ケイプル・Jr.
出演:マイケル・B・ジョーダンシルベスター・スタローンテッサ・トンプソン、フィリシア・ラシャド、ドルフ・ラングレン

あらすじ:アポロ・クリードの息子とイワン・ドラゴの息子がボクシングで戦います。

『ロッキー』(1977年)シリーズの正統なスピンオフシリーズであり、今となっては説明不要の大傑作『クリード チャンプを継ぐ男』(2016年)の続編。前作は観るたびに泣く、というより日常でセリフやシーンを思い出すだけで目が潤んできてしまうほど大好きな映画です。

そんな大好きな映画の続編が、あの『ロッキー4』(1986年)で最大のライバルだったイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)の息子ヴィクター(フローリアン・ムンテアヌ)とアポロの息子であるアドニスクリードマイケル・B・ジョーダン)が激突するという話だと聞いてシリーズファンとしては「もうその時点でいい映画に決まってるだろ!」と興奮度MAX!!!しかし監督は前作のライアン・クーグラー監督から彼の友人である新進気鋭のスティーブン・ケイプル・Jr.監督にバトンタッチしたということで期待と興奮と不安がゴチャゴチャになった状態で鑑賞しました。

結果としては誇張でもなんでもなく本当に終始泣いていました。ホロホロと泣きながら合掌して「みんな幸せになってほしい」と願いながら鑑賞するという後から思い返すと相当やばい鑑賞スタイルとなってしまいました。

前述した通りドラゴの息子ヴィクターとアポロの息子アドニスの因縁の対決!となるとやはり『ロッキー4』ばりにイケイケでアッパーなトーンの映画になるか!?(ド派手なお手伝いロボットとかジェームズ・ブラウンが歌う入場シーンみたいなのが出るのか!?)と思いきや、ちょっとびっくりするほど静かで切ないドラゴ親子の日常描写にまず胸をつかれます。ロッキーに負けて以降30年以上ドラゴがこんな寂しい生活をしていたなんて…。もちろんシリーズファンなのでドラゴのことを忘れたことはありませんが、彼がロッキーに敗北した後の人生については考えたことがありません。かつては冷徹なサイボーグのようでしたが人生の酸いも甘いも経験して後悔と苦悩と遺恨を全身に刻みつけているかのようなドルフ・ラングレンの老演技に涙が出ます。

このように本作は肉体同士がぶつかり合うボクシング映画でありながら、とても静かで淡々としたトーンで「家族のあり方」や「父と子の関係」について語る映画でもあります。今回アドニス、ドラゴ、そしてロッキーの三者三様の家族模様が描かれます。特にアドニスビアンカテッサ・トンプソン)の肩の力の抜けた、それでいて悩みを抱える夫婦の描写はよかったですね。チャンプになり守るものが増えるアドニスと、妻であり1人のアーティストでもあるビアンカのバランスが良いと感じました。そしてチャンプになることと父親になることは全然違うということを特に丁寧に描写していました。泣き止まない娘を連れて真夜中のジムを訪れるアドニス…あんなに精悍で筋肉質な男が赤ん坊を相手に本当に頼りない姿を晒すのが印象的です。その姿を優しく見守るように映し出される、ジムの窓に描かれたアポロのイラスト。「ダメなパパでごめんな」というアドニスのセリフは、もしかしたら天国のアポロの思う言葉でもあり、ドラゴやロッキーも抱えている気持ちでもあるのかもしれません。

他にも印象的なセリフがありました。ロッキーが家の前のずっと電気が切れたままの街灯を指してこう言います「灯りが点かなければただの棒だ」。もちろんこれはヴィクター戦に対して復讐以外の強い動機がないアドニスを示す暗喩であると同時に、息子と仲違いして喪失感を抱えたままのロッキーを示しています。さらに言えば地位も名声も妻も失って正常な親子関係をも失ってしまったドラゴのことを示しているのかもしれません。消えてしまった灯りを点けるにはどうすればいいか。やはり家族の存在が火を灯すのです。

思い返せば『ロッキー』は一匹狼を気取っていたロッキーがエイドリアンやポーリーやミッキーといった自分を支えてくれる仲間がいることを知り、強くなっていく物語です。チャンプになり野獣を気取っていたアドニスも、ビアンカや義理の母やロッキーといった自分を支えてくれる”チーム”がいると気付き、戦う心を取り戻します。まさに原点回帰という感じで魂の継承を強く感じました。

そして最終的に迎えるアドニスvsヴィクター戦。ロッキーシリーズは回を重ねるごとに勝負の付け方で苦悩している印象があります。単純に勝つだけではなく一度負けた相手に特訓して勝つとか、勝負よりもっと大切な政治的なメッセージを込めるとか、中には試合ではなく場外乱闘で決着するみたいなケースもありました。そういう意味で言うと本作の最終戦の落としどころは本当に素晴らしく、個人的には1作目のアポロvsロッキー戦の「最終15ラウンドまでリングに立つ」にも匹敵するか、それを超えるレベルの最高の決着だったと思います。確かに試合の勝ち負けは付きましたが、アドニスも、ヴィクターも、そしてドラゴやロッキーまでもが全員救済されるような本当に素晴らしい決着でした。あのドラゴの決断は、かの有名な荻昌弘さんの名解説「これは人生「する」か「しない」かというその分かれ道で、「する」の方を選んだ勇気ある人々の物語です」という言葉を思い出します。あのリングサイドをよたよた歩くドラゴは惨めに見えたかもしれません。情けなかったかもしれません。でもあの瞬間、ドラゴも「する」を選んだ勇気ある人になったんです。そしてその決断はロッキーがずっと抱えていた心の傷も救ったんです。

そんな風にドラゴが決めたのはなぜなのか。手負いの獣のようなヴィクターの心を揺り動かしたのは誰なのか。「戦っていても父の声が聞こえない」と言っていたアドニスが最大のピンチに陥ったときに聞いたのは誰の声なのか。まさに家族こそ最大の味方であり心に火を灯す存在なのです。

決着後の静かな静かなエンディング。父親となり改めて自分の父親と向き合えたアドニス。ほんの少しですが関係性が変わったドラゴ親子。そして…”リングに上がるためのたった3段の階段”よりも難しい障壁を乗り越えるロッキー。まるで『ランボー/最後の戦場』(2008年)のラストを思い出すような優しくて安らかな幕切れでした。自分が何者であるかを模索するアドニスと、静かに消えてしまいそうだったロッキーの物語として始まった『クリード』シリーズの続編として実に相応しい映画でした。

 

・『クリード チャンプを継ぐ男

ロッキーシリーズにリスペクトを捧げつつ新世代のロッキーシリーズを切り開いた大傑作です。今いる安定した場所から飛び出したり別の世界に挑戦したりすることを冷めた目で見てしまう若者たちを鼓舞する映画です。

 

・『ロッキー4』

ソ連の科学力の結集ドラゴ!アポロの死!リベンジバトル!全体的に荒っぽい映画ですが冷戦真っ只中に東西融和を訴えるという監督・脚本のスタローンの優しさが感じられて好きな映画です。この映画の「スポーツ科学的にそれはどうなんだ?」という感じの豪快な特訓シーンが本作でもオマージュされているのは少し笑ってしまいました。

 

2018年映画ベストテン

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こんにちは、ビニールタッキーです。

2018年に僕が劇場で見た新作映画は40本ほどでした。旧作も40本程見たので新旧半々ぐらいでしたね。年に100本以上鑑賞する映画ファンのみなさんには遠く及びませんが、僕が2018年に印象に残った映画をベストテンとして挙げてみます。

 

10.オーシャンズ8

とにかく楽しい映画でした。犯罪計画を鮮やかに実行する映画は数あれど、そのメンバーが全員女性というのがまず最高じゃないですか。特にメンバー8人のキャラクターが見事にバラッバラなのが良かったですね。さらに犯罪計画に参加する理由もバラバラなのに妙にみんな気が合って一致団結するのがとても見ていて楽しかった!なんというか、共通の趣味のオフ会で集まってみたらみんな見た目がバラッバラだけど話が異様に盛り上がるあの感じを思い出してグッときました。基本的にはお気楽で肩の力が抜けた娯楽映画なのですがデビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)が鏡の前でつぶやく「この仕事は私自身やみんなのためにやるんじゃない。世界のどこかで犯罪に憧れる8歳の女の子のためにやるんだ」というセリフが忘れられません。ちなみに余談ですがこの映画を見た後どうしても我慢できなくてスカジャンを買ってしまいました。

 

9.ヘレディタリー/継承

僕は本当にホラー映画が苦手なのですが勇気を出して見に行って大正解でした。あんなにビビッてたのに鑑賞後は「すげーー!」という驚きと「やったーー!」という高揚感でいっぱいでした。この映画、見てる間も話がどの方向に行くのか全く予測できないのですが最終的に到達したラストが個人的にメチャクチャ好みの話で大団円感すら感じてしまいました。あと公開当時は色々な人に怒られると思ったので書かなかったのですが『ヘレディタリー/継承』は『バーフバリ』みたいな映画だな、と思いました。だって世代を超えて「継承」された「願いは叶う」、というお話じゃないですか。ほら、「王を称えよ!」だし!ラストシーンは『バーフバリ』の滝の水を浴びるシヴァ像みたいな感じでしたよ!…これ以上は怒られるのでやめます。

以前僕が書いた感想はこちらです。

 

8.ブラックパンサー

とにかくかっこいい映画でしたね。アフリカ文化圏に西欧文化圏の流入がないまま高度に成長したら…という想定のもと作られた建築物やガジェットのデザインが素晴らしい。そして忘れられないヴィラン、エリック・キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)!王家の血を引きながらストリートで育ち、やがて故郷に戻り新たな王と対峙する…本来であれば貴種流離譚の主人公のようなキャラクターなのに悲しい過去を持つヴィランという…ああなんて切ないんだ!というかライアン・クーグラー監督いくらMBJのこと好きだとは言え設定盛りすぎでしょ!ありがとうございます!他にも特に強化人間でもないのに異様に強い戦士オコエさんや気は優しくて力持ちの「偉大なるゴリラ」エムバクなどなど忘れられないキャラクターたちも最高です。

 

7.ブリグズビー・ベア

サタデー・ナイト・ライブ」のエキセントリックなコントの中でいつも一歩引いた笑いを生み出すカイル・ムーニーがコント仲間と一緒に主演映画を作ると聞いて見に行ったのですが、本当に優しい優しい素晴らしい映画でした。なぜ人は物語を必要とするのか、物語を作り続けるのか、という物語論をちょっと極端とも言える設定で突き詰めつつ普遍的に語るストーリーが本当に素晴らしいと思いました。これぞ作り手賛歌ですね。「登場人物がみんな主人公に対して優しすぎる」という意見があるみたいですがこんな想像を絶する残酷な体験をした人に優しくするのは当たり前だと思います。少なくとも僕は彼と肩を抱いて笑いあう側の人間でありたいです。あとこれはお願いですが「ブリグズビー・ベア」本編をもっと見させて!


6.カメラを止めるな!

最高に笑いました。劇場全体で爆笑した体験が忘れられません。まだまだネタバレ禁止だと思いますので深くは語りませんが、やっぱりみんなで必死に何かをやり遂げるのは本当に大変だけど本当に面白いよね!と感じました。よく『ブリグズビー・ベア』とセットで語られることが多いのもよく分かります。終始笑える映画なので油断していたらラストでギュッと心を掴まれてボロッボロに泣いてしまいました。子を持つお父さんは絶対に見た方がいいですよ。


5.スカイライン 奪還

この順位に入れたのははっきりいって個人的なゴリ押しです。こんなに作り手のやりたいことと観客が喜びそうなことをサービス精神全開で詰め込んだ映画に感謝を伝えたい。エイリアン!巨大UFO!人体破壊!怪獣バトル!ベトコン!インドネシア最強の格闘技シラット!とこの世で考えうる限り最高な要素しかありません。個人的には『キングコング 髑髏島の巨神』を見た時も同じような感謝の気持ちを感じました。あともうDVDも発売されたので言いますがとにかくNGシーンが最高です。エンドロールでNGシーンが流れる映画は全ていい。そしてこの映画は本編が終わってからNGシーンが流れるタイミングが異様に早い。この書き割り感すらも魅力的な映画です。続編はいったいどうなるのか!!

以前僕が書いた感想はこちらです。


4.ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル

超大作おバカ映画の皮をかぶった最新型の『ブレックファスト・クラブ』。僕は『ブレックファスト・クラブ』形式の映画にとても弱いのですが(最近だと『スパイダーマン ホームカミング』『パワーレンジャー』)こちらはその手の映画の最新型の傑作と言っていいと思います。「他人の立場になって考えてみる」という人生において大切なことを「自分とは全然違う人格のアバターを強制的に割り当てられる」というゲーム要素を通じて表現するという試みが実に鮮やかです。どう見ても気弱なオタク少年が中に入ってるようにしか見えないロック様とギャルが中に入ってるようにしか見えないジャック・ブラックの演技も見事でした。基本的には彼らがジャングルを脱出するためにドタバタする話なのですが時折挟まれるさりげないセリフやふとした心理描写にきちんとした信念のある大人が作った映画であることを感じます。筋肉アクション俳優はキャリアを重ねるとメッセージ性の強い映画に出るようになるという伝統がありますがロック様ことドウェイン・ジョンソンもまさにその道を歩んでいると思います。「雑な映画なんでしょ~?」と思っている人ほど観てほしい映画です。


3.デッドプール2

「最高に笑えて、最高に泣ける映画」と書くととても陳腐に見えてしまいますが本当にそういう映画なので仕方ありません。僕が今年劇場で最も泣いた映画です。実は2回見たのですが「2回目はそんなに泣かないだろう」と思って行ったら展開を知ってるので泣きポイントが増えただけでした。「荒くれどものなけなしの良心による自己犠牲」ってイイですよね…。はっきり言ってギャグは下品だし内容と一ミリも関係ないメタネタばかりですが「大人は何が何でも絶対に子どもを守らなければならない」という芯がズドンと通っているのでとても真摯に作られていると感じました。そして『X-MEN』シリーズといえば人種差別が大きなテーマですが、真正面から差別に対してNOを突きつけるこの映画こそ正統な『X-MEN』映画だと思いました。「デッドプール無責任ヒーローと言いながら優等生すぎる」という意見もあるようですがフィクションの中で無責任ヒーローが優等生にならざるをえないぐらい現実に起きてることの方がやばいという痛烈なメッセージだと僕は考えています。


2.パディントン2

「多様性って楽しいよね!」ということを明るく楽しく、そして時折真面目に語る映画です。「移民が誤解や謀略によって刑務所に入れられてしまう」というストーリーラインは冷静に考えると相当悲惨な話ですが主人公が赤い帽子をかぶった小熊なので楽しく見れるのだと思います。逆に言うとそういうおとぎ話的な見た目だからこそ真っ直ぐなメッセージを描けるのだと感じました。あとオープニングで主要登場人物に突如付加された設定がラストに伏線として全部回収されるのは斬新な手法だと思いました。「それは伏線回収とは言わないだろ!」と吹き出してしまいそうになるんですが同時にビンビンに泣いてしまうというすごい映画でした。ちなみに個人的2018年ベストエンドロールはこの『パディントン2』です。登場人物全員が幸せに包まれる素晴らしいエンディングでした。

 

1.シェイプ・オブ・ウォーター

とにかく素晴らしい映画でした。障害者、同性愛者、黒人女性というこの映画の舞台である1960年代には「いないことになっている」人たちが協力して魚人を助ける姿には涙があふれてしまいます。一方で「本当に恐ろしいのは怪獣よりも人間」という言い回しをまさに体現するストリックランド(マイケル・シャノン)も最高でした。恐ろしい悪役ですが彼もまた世間の提示する「男性性」に拘束されている悲しき人間として描いている点にギレルモ・デル・トロ監督の優しさを感じました。魚人が幽閉される機械的で冷たい実験施設、イライザ(サリー・ホーキンス)の住む部屋、雨漏りする映画館など印象に残る舞台もいっぱいありました。どれもおとぎ話の世界とは程遠い舞台ですが、緻密に計算された色彩デザインと特殊撮影でおとぎ話のように美しい物語を語る手法が本当に見事です。いつまでも色褪せない映画だと思いました。

 

以上です。

こうやってベストテンを挙げてみると自己分析ができていいですね。自分の場合、色んな立場の人たちがわちゃわちゃする映画が好きなのかもしれません。

ここに挙げた以外にもいい映画がいっぱいありました。『インフィニティ・ウォー』はすごかったし『ヴェノム』や『ザ・プレデター』は忘れられないBL映画だったし『ボヘミアン・ラプソディ』はアゲアゲだったし『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』も最高に痺れた!こないだ見た『シュガー・ラッシュ:オンライン』もしみじみよかった…と言い出したらキリがありません!いやー映画って本当にいいものですね。

2019年もいっぱい映画見るぞ~!

 

映画感想『シュガー・ラッシュ:オンライン』インターネットよいとこ一度はおいで

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原題:Ralph Breaks the Internet
製作年:2018年
製作国:アメリ
監督:リッチ・ムーア、フィル・ジョンストン
出演: ジョン・C・ライリー、サラ・シルバーマン、ガル・ガドットタラジ・P・ヘンソン、アラン・テュディック

あらすじ:ゲーム世界の住人ラルフとヴァネロペがインターネットの世界に飛び込みます。

ゲームセンターの中の世界を舞台に、レトロゲームの悪役ラルフと生まれつきバグを持つヴァネロペという居場所のない二人が出会い、かけがえのない友人になるまでを描くディズニー映画『シュガー・ラッシュ』(2012年)の6年ぶりの続編。現実世界と同じくあの騒動から6年が経過したゲームセンターはかなりレトロな雰囲気になっています。相変わらずラルフとヴァネロペは仲良く日々を送っていますが「毎日同じことの繰り返し」「寝ながら運転しても1位になれる」とヴァネロペは退屈気味。一方のラルフは穏やかな日常に満足しており「このままの日々が続いてほしい」と考えています。

そんなある日、ゲーム「シュガー・ラッシュ」の筐体のハンドルが壊れてしまいます。このままでは故障品としてゲームセンターから撤去されてシュガーラッシュの住人たちは消えてしまいます。そこでebayにハンドルが出品されていると知ったラルフとヴァネロペはwi-fiを通じてインターネットの世界に飛び込みます。

2人は何とかしてebayでハンドルを落札しましたが購入する資金がありません。手っ取り早く大金を手に入れるにはネットゲーム「スローターハウス」のレアアイテム「シャンクのスーパーカー」をゲットして換金するといい、と知ります。「スローターハウス」はGrand Theft AutoのようないかにもZ指定っぽい危険な雰囲気のレーシングゲームですが、ここでスーパーカーを巡ってギャングのリーダー:シャンクと派手なカーチェイスを繰り広げているうちにヴァネロペは自由で刺激的なストリートレースに魅了されます。「私がいるべき場所はここだ」とヴァネロペ。「こんな危険な場所から早く帰ろう」とラルフ。仲良しなはずの2人は対立してしまいます。ヴァネロペと元の生活に戻りたいラルフはある危険な策略に手を出してしまい、最終的にインターネット全体を巻き込む大騒動に発展してしまいます。

前作『シュガー・ラッシュ』は見るたびに毎回泣いてしまうほど大好きなのですが、結論から言うと本作でも泣いてしまいました。前作は「自分自身を受け入れることで他人とも分かりあえる」というお話でしたが、今回は「親しくなった者同士が離ればなれになることにどう折り合いを付けるか」というお話でした。

人によってそれは「田舎から都会に行ってしまう友人」や「夢を追って海外に立つ親友」のようなシチュエーションで自身に投影することができますが、僕はどうしても「自分の夢のために家を出て行く子どもとそれを見送る親」のように見えてポロポロと泣いてしまいました。僕は進学をきっかけに田舎を出て以来今も親元から離れて暮らしています。そしてまだ小さいですが、いつか自分から離れてしまうであろう子どもを持つ親でもあります。だから身勝手とも言える決断に至るヴァネロペの気持ちも、離れたくないあまりに常軌を逸した行動に出てしまうラルフの気持ちも分かるんです。だからとてもとてもつらい。

でもね、人間なんてみんな自分勝手なんですよ。思い通りになんていかないんですよ。みんな他人同士なんですから。いつでも誰でも今いる場所からどこか別の場所に行くときは身勝手なものです。そして離れたくないと無理矢理にでも引き止めようとする気持ちも身勝手です。お互い身勝手同士なんですから相手にどうこうしてほしい、じゃなくて自分自身に折り合いを付けることが大切なんです。この映画は設定上はゲームキャラが10年代のインターネットの世界でハチャハチャする映画ですが、その中身は人が生きる上で必ず経験する普遍的な葛藤を描いていると感じました。それは制作陣も強く意識したようです。

「毎年、冬の時期になるとアメリカでは『三十四丁目の奇跡』(1947年のアメリカ映画。クリスマス時期のニューヨークが舞台になっている)を観る人が増えます。あの映画で描かれている世界と現在を比較すると、人々の生活スタイルも、ニューヨークの街なみも、テクノロジーも大きく変化していますが、多くの人があの映画で描かれているストーリーに戻りたくなる。この映画もそんな風になってくれたらいいな、と思っていました」

確かにこの結末の後、ラルフとヴァネロペの友情が続くかはわかりません。「シュガー・ラッシュ」や「フィックス・イット・フェリックス」の筐体だっていつ撤去されるかわかりません。でも我々の人生も同じなのです。何が正しかったのかなんて後でわかることなのです。最後にラルフが見せる安堵とも哀愁とも言えない味わい深い表情を思い出すと「これでよかったんだ」という気持ちになりました。

正直に言うと僕も最初はヴァネロペが下した決断に「後始末をしてないじゃないか」とか「他のゲームの住人たちはどうなるんだ」とか色々思うところがありました。でもこのプリンセスという肩書きが持つ様々なしがらみを、まるでコース上の障害物をバグ技ですり抜けるかのようにかわしてしまう身軽さがヴァネロペらしいと思えるようになってきました。これもまたディズニーが提案するプリンセスの新しい形の一つなのかもしれません。

プリンセス像の再解釈という点で言うとこの映画の最大の見所でもある「Oh My Disney」というウェブサイトで登場するディズニー・プリンセスたちが最高でしたね。アナが「とびら開けて」の歌詞が書かれたTシャツを着ていてそれはいいのかよ!と思ったりモアナが「#SHINEY」と書かれたTシャツを着ていてタマトア好きとしてはうれしい!となったりしました。最初は他のカメオ出演キャラと同様に小ネタ要員なのかな、と思っていたら物語の進行方向を決定づける重要な役目だったことには驚きました。さらに彼女たちにしかできない最高の活躍を見せてくれるのが本当に素晴らしかった!そしてそれがディズニー・プリンセスという立場を使った大きな意趣返しになっているのも最高でした。さすがは『ズートピア』で真正面から多様性に関する物語を作った監督&脚本コンビです。ぜひ劇場で実際に見てください。

印象的だったキャラクターについて書きます。まずは何と言っても最高にかっこいいギャングのリーダーのシャンク。擬似家族的な仲間たちを「ファミリー」と呼ぶ描写が完全に『ワイルド・スピード』を匂わせていて笑ってしまいました。確かにシャンクの中の人(ガル・ガドット)はワイスピシリーズに出演してるけど!しかもこの映画にはヴィン・ディーゼルも出てるけど!(ベイビー・グルート役だけど!!)そして登場するたびに見た目が変わるけど全てがカッコいいイエス姉さん!中の人がタラジ・P・ヘンソンとこれまた抜群にかっこいい人なのが最高です。この二人が友達というのもたまらない!できれば本編でがっつり絡んでほしかった!なんならシャンクさんとイエスさんもプリンセスの部屋に迷い込んでパジャマパーティーしてください!!

脇役キャラもみんな濃くてよかったですねえ。ものしりおじさんことノウズモアの「検索のオートコンプリートをアニメ化するとこうなる」という感じが笑えました。ネットでお金を稼ぐ方法を教えてくれるスパムリーもいい奴でしたね。最初は怪しい奴に見えるけど意外といい奴であることについてフィル・ジョンストン監督は以下のように説明しています。

「ポップアップ広告も、グラフィックやアートスクールを卒業した人たちが仕事でやってるだけであって悪魔ではないよね。ただスパムで生活しなきゃいけないだけでさ」

こういう脇役一人についてもちゃんと思いが込められていることにうれしい気持ちになります。

あとインターネット世界の小ネタについては挙げるとキリがないので気になったやつを箇条書きにします。
ツイッターYouTubeも猫ばっかり
・「スローターハウス」のプレイヤーキャラの動きが最高(走りやジャンプのぎこちなさ)
MCU考察オタクの3DCGアニメ化
・ネットの世界でもプリンセスのお側にいるC-3PO
・オシャレなInstagramにもおもしろ動画のバナーが流れてくるという痛烈なインターネットあるある。
・アルフレッド・モリーナの贅沢な使い方
・というか怪しい仕事をしてるアルフレッド・モリーナにジョン・C・ライリーが会いに行くって完全に『ブギーナイツ』じゃんよ!!
ジオシティーズ
・恐らくNetScapeのローディング画面に出てくるやつであろう巨大な舵…
・スクロールバーが一番下まで行ってあれ?もう終わりなのかな?と思わせといてスクロールバーが小っちゃくなって上に戻るやつ~~~
・おまけシーンその1:うさぎがパン!ってなるのはかわいそう


・おまけシーンその2:これもう子供向けじゃねえな!

以上です。
このように小ネタ、ネットミームイースターエッグ満載のとても楽しい映画なのですが、見終わった後には今は遠くにいる友人や離れた場所に住む家族のことをふと思い出してしまうような切ない映画でした。

 

・『シュガー・ラッシュ

「集団セラピーが出てくる映画にハズレなし」という持論を持っているのですがこの映画の最初に登場する悪役キャラたちの集団セラピーの合言葉が映画終盤でもう一度リフレインするところで毎回ビンビンに泣いてしまいます。壊すことしかできないキャラクターが壊すことで誰かを救うという展開も最高です。こうやって書いてるだけでまた泣きそうになります。

この映画宣伝がすごい!2017(番外編)

こんにちは、ビニールタッキーです。

先日『この映画宣伝がすごい!2017』を書きました。


毎年トンチキな映画宣伝をまとめて『この映画宣伝がすごい!』という形でご紹介していますが、まとめるためにネット記事を巡回している最中に「これは本来の意味ですごい!」「もっと知られてほしい」と感じる宣伝があります。それらをまとめて「番外編」という形で何回かご紹介してきました。


2017年もそういった宣伝がいくつかありましたので『この映画宣伝がすごい!2017(番外編)』としてご紹介します。

まずはこちら!


信頼できる字幕翻訳家」としておなじみの松浦美奈さんが『光をくれた人』のトークイベントに登壇。字幕翻訳の観点から見る映画の魅力について語られていました。

「私たち(字幕翻訳家)は、最初に台本のチェックを兼ねて、これから自分が翻訳するセリフを3秒4秒ごとに印をつけていく“箱を割る”という作業をするんです。ですが、今回は仕事そっちのけで見入ってしまった。翻訳しているときは、セリフがないところは飛ばしてしまうことも多いんですが、この作品はセリフがないところも全部見て、しかも何度も同じシーンを繰り返し見ながら仕事していました」というほど。

松浦氏は「セリフが簡単とか難しいとかではなくて、優れた映画というのは止まらない。どんどんセリフが生まれてくるんです」と独自の“良作の条件”を挙げる。「(優れた映画は)翻訳をやっていても、“また同じセリフが出てきちゃったな。違う言い方しなくちゃいけないわ”っていう風に悩まないで済むんです。アクション映画とか“何度も『Come on.』って言うなよ!”って思うし、出てこない人物のことをセリフで全部説明しちゃう作品はかえって困るんですが、本作は違う」と映像や音楽を含めた表現の豊かさに太鼓判を押した。

この映画に惚れ込んでいる様子がよくわかります。そして字幕翻訳家ならではの視点の話がとても興味深いです。もっとこの話を聞いていたい!と感じました。

松浦さんが過去に手掛けた映画や字幕翻訳に対するこだわりについてはこの記事がわかりやすく面白いのでおススメです。

その映画監督に惚れ込んでいるタレントが登壇するイベントは大体読んでいて楽しい気持ちになります。2017年で言うとグザヴィエ・ドラン監督の大ファンである栗原類さんやクリストファー・ノーラン信者の岩ちゃんこと岩田剛典さんの記事は特に印象に残りました。

特に『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』で日本語吹き替えにキャスティングされたピエール瀧のコメントが個人的に強く印象に残りました。

アナと雪の女王』でオラフの声を担当して以来の声優挑戦となる瀧は、本国版ではマシュー・マコノヒーが演じている、クボとともに冒険をする、物語の鍵を握るクワガタの吹替を担当。瀧は“超が付くほどのライカファン”であり、オファーを快諾したという。

ピエール瀧
今作のオファーはとにかく嬉しかったです。元々ストップモーションアニメーションが好きで、各国の様々な映画を観ていましたが、昨今では特に今回のライカ製作『コララインとボタンの魔女』が凄すぎて大好きでした。想像を超える技術を持ったライカのアニメーションはとにかく別格で、全ての映像、演出において妥協せず、最高のものを届けるためにその環境を作っているライカの懐の深さに感動を覚えますし、リスペクトしています。今回の作品に参加することによって、そのライカの一員になれた事を光栄に思っています。また、日本文化の描写が本当に素晴らしいです。入念な日本の研究によって、細部まで丁寧に日本を再現しています。素直に日本人には絶対見てほしい作品だと思っています。ライカにしか出来ない魔法を、今回の『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』で体験できます。魔法がかかったこの映像世界を是非楽しみにしてください。

めっちゃ熱がこもってる!!

瀧が「超が付くほどのライカファン」だということを初めて知りました。これだけ熱のこもったコメントを見ると「任せて安心だな!」という気持ちになれます。

 

続いては5歳で迷子になった男の子が25年ぶりに生まれ故郷を見つけ出した実話を元に映画化した『LION ライオン 25年目のただいま』の試写会の記事。原作者で主人公のモデルとなったサルー・ブライアリーさんとゲストの寺田心くんの会話が印象に残りました。

心くんはブライアリー氏に「迷子でいるときはどんな気持ちでしたか?」「お母さんと再会したときはすぐにわかりましたか?」などと質問。ブライアリー氏は「人間は強いから前に進もうとするし、宇宙の力が守ってくれているようだったよ」「最初は数秒必要だったけど、顔を見てお母さんだってわかったよ。すごく大切な瞬間でした」などと優しく解答。心くんは「この映画を見て、もっと世界中の友達のことを知りたいって思いました。僕に何ができるのか?と考えたら、知ることが大事だと思いましたし、多くの人にこの映画のことを知ってほしいです」と大人顔負けのコメントで訴え、会場は温かい拍手に包まれた。

本当に素晴らしいコメントですね。来日記念イベントに呼ばれるタレントさんはこうあってほしいと強く感じました。

ちなみに『LION ライオン 25年目のただいま』はもう一つ試写会があったのですがそちらはベッキー大西ライオンが登壇する就活生限定試写会という僕好みのやつでした。

現在、就活中だという男子学生から「ネガティブで落ち込みやすい性格が悩み」だと相談されると、ベッキーは「私もそうですよ」と明かし、「私の場合は落ち込むだけ落ち込んで、あとは前を向いて歩くしかないと自分に言い聞かせる。過去は変えられないですし」と“人生のパイセン”としてアドバイス。マスコミ志望の女子学生には、「もしマスコミ業界に入ったら、(自分に)優しくしてね」と茶目っ気も見せていた。

色々とアツすぎます。

 

続いては『ギフト 僕がきみに残せるもの』のトークイベントです。

ボクシング元WBA世界ミドル級チャンピオンの竹原慎二が5日、原宿クエストホールで行われた映画『ギフト 僕がきみに残せるもの』トークイベントに出席。2014年にステージ4の膀胱がんと診断され、手術後3年が経過しているが「いまはとても元気です」と語りつつも、8月末に検査を控えている身として「検査の前はいつも最悪なことを考えてしまいます」と不安な胸のうちを明かしていた。

映画『ギフト 僕がきみに残せるもの』は、難病 ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症してしまったアメリカンフットボールの元選手スティーヴ・グリーソンのビデオダイアリーを基に制作されたドキュメンタリー映画。病気を告知直後に妻の妊娠を知ったスティーヴが、生まれてくるわが子のために、約4年間に渡って撮影した1,500時間にも及ぶ映像によって構成されている。

作品を鑑賞した竹原は「看病する側、される側の両方の目線で見てしまう」と語ると「やっぱり大切なのは周囲の支え。それがあるから負けないで戦える」と作品に登場するスティーヴと妻のミシェルに深く感情移入したことを明かす。さらに「ボクシングで世界チャンピオンになり、どんな病気だって克服できると思っていたのですが、手術や抗がん剤の治療は絶対無理だと思うぐらいつらかった。それに負けなかったのは家族の力です」とあらためて感謝の言葉を口にする。

ガチンコファイトクラブ世代としてはあの竹原が…!と思わず驚いてしまいますが、同じような体験をしたアスリートだからこそ語れるとても真面目で誠実な感想だと思いました。

 

最後は『ぼくと魔法の言葉たち』の監督来日イベントです。

アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート作「ぼくと魔法の言葉たち」のロジャー・ロス・ウィリアムズ監督が来日し、東京・綾瀬にある学習支援教室「東京未来大学こどもみらい園」を訪問した。

映画は、2歳のときに突然言葉を失った自閉症の少年オーウェン・サスカインドが、ディズニーアニメーションを通し、言葉を身につけ、外の世界に適応していく術を学んでいく姿を収めたドキュメンタリー。オーウェンが両親の献身的なサポートで困難を乗り越えながら成長し、社会人として自立した生活を送ろうと奮闘するさまに密着した。

ウィリアムズ監督は、2013年の短編ドキュメンタリー「Music by Prudence(原題)」でアフリカ系アメリカ人監督として初めてオスカーを獲得した人物。この日は、自閉症発達障害を抱える子どもたちがそれぞれ得意とする紙粘土工作や体操、英会話などを通して交流を図った。5人の子どもたちとケーキのデコレーションに挑戦したときには、優しく励ましたりほめたりする一方で、子どもたちから日本語を教えてもらったりと、短い時間で打ち解けた様子で、完成時には全員と笑顔でハイタッチを交わしていた。

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このあと保護者との意見交換会なども行われたそうです。正直に言うとこの記事を読むまでロジャー・ロス・ウィリアムズ監督という方についてよく知らなかったのですがこのイベントの様子を見ていると監督はどんな人なのか、この映画は何を伝えたいのか、誰に対して届けたいのか、ということがとてもよく分かりました。知らないことを知り、興味を持たせるという意味でも素晴らしいイベントだと思いました。

いかがだったでしょうか。

多くの人の目を引くためにトンチキな方向に行きがちな海外映画の国内宣伝ですが、このように送り手側の真摯な姿勢を感じる宣伝もまだまだいっぱいあります。「これだから映画宣伝は~」と十把一絡げで批判するのではなく、素晴らしい宣伝もあることを頭の片隅に置いてほしいと思います。そしてそういう宣伝を見かけたときは拍手を送ってあげてください。送り手も人間であり、全てはクライアントと予算と納期のある仕事なんですから。いい仕事はガンガンほめましょう!

それではまた次回をお楽しみに!

この映画宣伝がすごい!2017(後編)

おもしろ映画宣伝は100%死にません!
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「バイオハザード」ゾンビコスプレのアキラ100%、「これが1番プレーン!」 : 映画ニュース - 映画.com

いきなりすみません。

 

まずは前編と中編をご覧ください。

ここまでのあらすじ:2017年のおもしろ映画宣伝を振り返っています。

 

さて、2017年はハリウッドスターの来日ラッシュが話題になりました。どれだけ来日したかについては安心と信頼のシネマトゥデイさんのまとめ記事が丁寧ですのでご覧ください。

「来日俳優あるところにおもしろイベントあり」とは僕の言葉ですが、ハリウッドスターと日本伝統の映画宣伝の組み合わせによるマリアージュ(もしくは悪魔合体)が発生しまくりでした。特に気になった案件をピックアップします。

 

まずは日本映画宣伝の風物詩こと鏡開きライアン・ゴズリングデミアン・チャゼル監督が挑戦!

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オスカー大本命『ラ・ラ・ランド』に日本的要素? 若き天才監督が明かす | cinemacafe.net

ゴズリンがハンマーを持つと『ドライヴ』を思い出してこわい!

ブラピも鏡開き!

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ブラッド・ピット、40分間のファンサービス!日本の熱烈歓迎に「いつも感謝」 : 映画ニュース - 映画.com

マッツはコタツで丸くなる!

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「マッツ・ミケルセンです。こたつに入っています」 “北欧の至宝”にバラエティー枠のようなムチャ振りをする公式動画がシュール(要約) - ねとらぼ

ガーディアンズ御一行は特製スカジャン!
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クリス・プラット、もう脱がない!『ガーディアンズ』スカジャンに大感激 - シネマトゥデイ

今見ると涙が出そうになる光景です!

トム・ホランド君は法被で和太鼓!初来日で映画宣伝の洗礼を浴びまくり!

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新スパイダーマン初来日!大雨にぬれるファンを前に「僕もぬれるよ!」と宣言し大喝采! - シネマトゥデイ

ちなみに上記の二人は着こなしが絶妙すぎて「家電量販店っぽい」と一部界隈で話題になりました。

ミキティー!ならぬマカヴォーーイ!
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ジェームズ・マカヴォイ、日本映画出演に色気! - シネマトゥデイ

レイ・フィッシャーエズラ・ミラーの手書き日本語!

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来日した「ジャスティス・リーグ」エズラ・ミラー、“今見たい映画”が親日ぶり全開! : 映画ニュース - 映画.com

名入り提灯にはしゃぐウィル・スミス!

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来日した「ジャスティス・リーグ」エズラ・ミラー、“今見たい映画”が親日ぶり全開! : 映画ニュース - 映画.com

トム・ヒドルストンブリー・ラーソンとサミュエルの叔父貴の後ろに巨大コング!
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初来日のトムヒにファン1,200人大歓声!GACKTも「いい男」と惚れ惚れ | cinemacafe.net

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このTOHOシネマズ新宿のゴジラ像に驚くトムヒの写真が好きです。

そしてキアヌ・リーブス和田アキ子とあの鐘を鳴らす!なんでや!
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キアヌ絶賛!和田アキ子『ジョン・ウィック』監督からボス役オファー - シネマトゥデイ

ちなみに『この映画宣伝がひどい!2017』グランプリは上記の『ジョン・ウィック:チャプター2』ジャパンプレミア(キアヌとチャド監督が和田アキ子を接待している、キアヌ本人が公の場であまり話さない慈善活動についてアッコが突っ込む等)と悩みましたが、こちらにしました!

『この映画宣伝がひどい!2017』グランプリは、『ジョン・ウィック:チャプター2』の愛犬試写会です!!
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犬たちは「ジョン・ウィック」をどう見た?犬の感情を翻訳してみると…… : 映画ニュース - 映画.com
なんだこれは!?

映画の試写会に呼ばれた犬と愛犬家たちに自分たちの芸を見せるという流れがやばい!

上映後に登場した五味はスーツ姿で映画の中のキアヌになりきり、中村が扮する“犬”に指示を出していくが、中村が犬の被り物を着けた途端に、カフェ内にいる犬たちが突然、大きな声で鳴き出すという不測の事態が発生。中村はシェパード、ビーグル、ハスキー、ボルゾイと次々とかぶり物を変えて犬種をチェンジしていくが、犬たちは大興奮でほえ続け、シューマッハの2人も初めてのことに驚いていた。

それでもなぜか、最後に映画と同じピットブル姿になると、犬たちはやや落ち着いた空気となり、さらに中村がピットブルの姿のままピアニカを演奏し、2人で“犬タワー”を作ると、犬たちは無言でそれを見つめるという不思議な空気に。「これは受け入れられたのかな……?」(中村)と2人ともホッとした表情を見せていた。

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何が起きているんだ…色々言いたいことがありますがとりあえず愛犬家に『ジョン・ウィック』の話をするのは禁物だと思います!ひどい!

 

えー、では気を取り直して。2017年も様々なおもしろ映画宣伝がありましたが、栄えある『この映画宣伝がすごい!2017』グランプリは…

ワンダーウーマン』の公開記念イベントです!

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吉田沙保里、ワンダーウーマン姿で登場!子役に最強タックル伝授「強くなって」 | cinemacafe.net

ワンダーウーマンの日本公開が決定した時から「国内宣伝には日本のワンダーウーマンこと吉田沙保里選手を!」と訴え続けていたのでついに実現したときは思わずガッツポーズしてしまいました。ありがとう!宣伝の人!

劇中でワンダーウーマン/ダイアナとパイロットのスティーブ(クリス・パイン)が恋に落ち、お互いを支え合う素敵なラブストーリーが描かれていることにちなみ、守ってあげたい、もしくは守られたい男性の存在を聞かれた吉田さんは、「いや~いまはいないですね。これから映画のように二人三脚で歩んで行けるようなパートナーが欲しいです」と回答。「女性では守ってあげたい方はたくさんいますね」と語り、“霊長類最強女子”らしい一面を覗かせた。

相変わらず恋愛話を切り出す取材陣…とムッとしてしまいますが吉田沙保里選手の受け答えがカッコいい!!

さらに最速試写会には1980年の『紅い旋風ワンダーウーマン』でワンダーウーマンの日本語吹き替えを担当した由美かおるをサプライズゲストとして呼ぶ素晴らしい仕事っぷり!

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“元祖ワンダーウーマン”由美かおる、“後継者”に太鼓判「今の時代に必要な女性像」 : 映画ニュース - 映画.com

劇中のクリス・パイン入浴シーンについて「パーフェクト!」とコメントしているのも最高です。

中編でも言及した通り、『ワンダーウーマン』については日本版テーマソングや予告編の宣伝文句で色々と思うところがあったのですが個人的にはこれにて名誉挽回!と感じました。一つの映画でうーん…という宣伝と最高!という宣伝があるという複雑性が現在の映画宣伝を象徴していると感じましたのでグランプリとしました。おめでとうございます!!

ここでもう一つ、『この映画宣伝がすごい!2017』審査員特別賞を発表したいと思います。

『ゴースト・イン・ザ・シェル』ジャパンプレミアです!

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長州力「攻殻」バトー完璧コスプレ披露!2時間メイクも「キレてない」 - シネマトゥデイ

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長州力のバトーさんのクオリティが異様に高い!

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武田梨奈さんの脚の角度も高い!!

『ゴースト・イン・ザ・シェル』は公開当時「ホワイトウォッシュ」と批判されました。実際の映画を見ると主人公が白人のスカーレット・ヨハンソンである意味がちゃんとあるのですが、アジア系の草薙素子も見たかったという気持ちもあります。そういう点で武田梨奈さん扮する少佐の凛とした姿には感動しました。

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そして長州力。僕は攻殻機動隊については原作からのファンですが「長州力にメイクすればバトーになる」と思ったことは一度もありませんでした。普段どんな物を食べていればこのような発想に到達するのでしょうか。完敗です。

 

というわけでいかがだったでしょうか。『この映画宣伝がすごい!2017』。
2017年も思わず爆笑してしまうような案件から目を疑うような案件まで色々な宣伝がありました。数年に渡ってこういった映画宣伝たちを観察していると「新作映画の情報をいかに拡散させるか?」という送り手側の苦労を感じられるようになりました。特にここ数年はSNS上のバズをきっかけに映画がスマッシュヒットする事例が増えてきたため、SNSでの宣伝に注力している映画も多いと感じました。映画館で映画を見る人が少なくなり映画の鑑賞方法も多様化する中、古典的な宣伝と新しい形の宣伝が入り混じり始めたと感じます。何にせよ、いい宣伝には拍手を送り、アレな宣伝には「そこがいいんじゃない!」と叫ぶ活動は続けていきたいと思います。

では次の『この映画宣伝がすごい!2018』もお楽しみに!

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平野ノラ&ひふみん、驚異の実話「バリー・シール」に「おったまげー」! : 映画ニュース - 映画.com

おったまげー!!

この映画宣伝がすごい!2017(中編)

安心してください!ちゃんとおもしろ映画宣伝は続きますよ!
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とにかく明るい安村、マイナス13キロの肉体改造に挑戦 - シネマトゥデイ

ダイエットも成功しました!

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明るい安村、2か月で16キロ減… ビフォーアフター - シネマトゥデイ

だから何だ!!

 

えー、まずは前編をご覧ください。

ここまでのあらすじ:一身上の都合で2017年のおもしろ映画宣伝を振り返っています。

さて、2017年は味わい深い邦題が多く話題となりました。特にネット上でも話題になった作品をいくつかピックアップします。

原題:Guardians of the Galaxy Vol. 2

邦題:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

「Vol.2」と「リミックス」では意味合いが全然違う!
実際に後追いで見た人が『リミックス』を「1のデジタルリマスター版のようなもの」と勘違いして2から見始めてしまうという悲しい事故も発生しているそうです。確かに!時間が経てば経つほどわかりにくい!

でも宣伝は最高でした!

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コワモテ遠藤憲一、25センチの木に変身!自分の職業がわからなくなる - シネマトゥデイ

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特に遠藤憲一が。

 

原題:Thor: Ragnarok

邦題:マイティ・ソー バトルロイヤル

ラグナロクぐらいわかるよバカヤロウ!という気持ちもありますが大半の日本人は知らない単語です。これについては映画にバトルロイヤル的な要素もあったので別にいいや!という気持ちです。そんなことがどうでもよくなるぐらい面白い映画でしたし。

もちろん宣伝も最高でした!

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「マイティ・ソー」天海祐希&浅野忠信が登壇「ホーガンが切られてなくてよかった」(写真21枚) - 映画ナタリー

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特に把瑠都が。

ちなみに海外ではこの邦題に賛同する人も多いという話もありました。

日本がラグナロクだバトルロイヤルだと揺れる中、タイカ・ワイティティ監督がツイッターで「ラグナロォク」と喋るレモンの動画をツイートしていたのもいい思い出です。

 


原題:Hidden Figures

邦題:ドリーム 私たちのアポロ計画

邦題:ドリーム

第1弾の邦題が発表された時から「マーキュリー計画の話なのになぜアポロ計画?」という意見が殺到した結果シンプルな邦題になりました。


でもそんなドタバタも気にならなくなるほどメッチャクチャ面白い映画ですよ!

 

原題:King Arthur: Legend of the Sword

邦題:キング・アーサー 聖剣無双

邦題:キング・アーサー

一部界隈で「2017年最高の邦題」と賞された邦題でしたがおそらくコーエーあたりと著作権でぶつかってしまったのか「聖剣無双」が外れてしまいました。ガイ・リッチー監督のテンションを熟知している配給会社の勇み足という感じで好感が持てる事件でした。しかしこうなると今度はアントワン・フークア監督の『キング・アーサー』(2004年)とドカブりなので何か別の副題を付けてほしいと思いました。例えば原題が「Legend of the Sword」なので『キング・アーサー 聖剣伝説』とかどうですかね。

もちろん宣伝も最高でしたよ!

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「キング・アーサー」に触発されたメイプル超合金、下克上を果たしたい相手は? : 映画ニュース - 映画.com

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最高の写真。

 

この他にも『Denial』→『肯定と否定』や『Arrival』→『メッセージ』や『Going in Style』→『ジーサンズ はじめての強盗』等色々ありました。

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73歳・高橋英樹「ジーサンズ」に刺激!「パワーを見せつけられた」 : 映画ニュース - 映画.com

『メッセージ』は日本でもばかうけでしたね!

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「メッセージ」×ばかうけ“公式”コラボポスター完成!販売会社社長「運命感じた」 : 映画ニュース - 映画.com

邦題を付けるのは中々難しい仕事だとは思いますが密かに楽しみにしているコンテンツでもあるので配給会社の皆さんがんばってください!

 

2017年は日本版オリジナル主題歌も話題やったで!

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関ジャニ∞、『スパイダーマン』最新作のジャパンアンバサダーに!主題歌も担当 | cinemacafe.net

えっ…声はすれども姿は見えず…
スパイダーマン:ホームカミング』の主題歌を関ジャニ∞が!と大変景気のいいニュースなのですがジャニーズ力(ぢから)でインターネット上の記事からは姿が消えてしまいました。大いなる事務所の力には大いなる責任が伴う。

この事件(事故?)についてはこちらの記事がとても面白いです。いわゆる「虚無写真」は何度見てもグッと来ます。そして皆さんはもうご存知だと思いますが2018年にはジャニーズタレントの写真が一部ネット解禁されました。これもスパイダーマンのおかげに違いない!

 

ワンダーウーマン』の日本版イメージソングは乃木坂46だよ!

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乃木坂46白石麻衣、「ワンダーウーマン」監督からダイヤモンド付きティアラを受贈 : 映画ニュース - 映画.com

しかし…「女は一人じゃ眠れない」という曲名に一部映画ファンがどよめきました。解釈違いがすごい!

 

お笑い芸人の日本語吹き替えが不評?でもそんなの関係ねえ~!

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小島よしお、レゴランド登場に親子客400人歓声 狩野英孝への友情も吐露 : 映画ニュース - 映画.com

ズボンをすぐに脱ぐというロビンのキャラから小島よしおさんが抜擢されたようですが…これが蓋を開けてみるとメチャクチャ素晴らしかった!基本的に陽気な少年なのですが心に傷を持つ一面もあるということを声だけで丁寧に表現していて思わずグッときてしまいました。

こっちは斎藤さんだぞ!

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トレエン斎藤がレディー・ガガの名曲でキレキレダンス披露!「SING」コラボ映像公開 : 映画ニュース - 映画.com
こちらも実際に見てみると斉藤さん演じるグンターさんの輝きがすさまじくこれ以外の吹き替えは思いつかない!というぐらいの素晴らしい仕事っぷりでした。

しかしこの二つ、公開前にかなり批判されました。原因は吹き替えに自身のギャグを入れ込んだ、という記事です。

山寺宏一 小島よしおの隠れた能力に感心「声優向き」

確かに楽しみにしている作品がタレント吹き替えになるとどうしても脊髄反射的に「嫌だ!」「やめて!」という気持ちになってしまいます。そういう時、タレントさんが作品に対する熱意やリスペクトを示してくれれば多少はそういう争いごとも減るんじゃないかな、と思います。

日本独自のオリジナルコンテンツといえば2017年は『ランナーズ クロスロード』というのがありましたね!皆さん覚えてますか?

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マックィーンが人間に!?「カーズ」最新作、野村周平主演で異例の実写ミニドラマ化 : 映画ニュース - 映画.com

「カーズ クロスロード」の物語を人間の世界に置き換えた内容で、ディズニー/ピクサーが公認した、極めて異例のミニドラマとなっている。

何を言ってるか全くわからない!

 

えー、といった感じで2017年映画宣伝事件簿とかやってるうちにまた記事が長くなりすぎました。次の後編は2017年を象徴するハリウッド俳優来日ラッシュ&おもしろ来日イベントと『この映画宣伝がすごい!2017』グランプリの発表です!

後編もお楽しみに!

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ポアロに扮した草刈正雄、ヒゲつながりで白髭神社で「オリエント急行殺人事件」ヒット祈願 : 映画ニュース - 映画.com

後編まで急行だ〜〜!